会報「SOPHIA」 平成19年8月号より

今年も開廷、子ども裁判所

   法教育特別委員会 委員
山 田 麻 登


  1. サマースクール専門講座の一つとして、今年も「子ども裁判所」が開催されました。今回で3回目となります。


  2. 「子ども裁判所」について

     アメリカの一部の州では、通常の少年司法手続のほかに、非行を犯した少年に対する法的処分を同年代の少年たちに決めさせるという手続が採用されています。

     そこでは、ボランティアの少年たちが、検察官・弁護人・陪審員役に分かれ、それぞれの立場からの意見を出し、最後に陪審員が少年に対する処分を決定します。処分の中には、今度は少年自身が陪審員として参加するという処分もあります。この制度は、非行少年自身の更生に役立つのみならず、手続に参加した他の少年たちの法意識向上ということに関しても成果を挙げているそうです。

     中高生が多数参加するサマースクールの専門講座こそ、この手続をテストし、その可能性を探ってみる絶好の機会ではないだろうか。ということで、少年司法に関心の深い委員会メンバーを中心に企画されたのが、この「子ども裁判所」であります。


  3. 今年の企画について

     今年は中学生のみの開講となったこの企画。まず考えたのは、少年を女性にしてみようということでした。参加者である中学生諸君の反応にジェンダーバイアス的なものが出てくるのかを見てみたかったのです。

     設定は、大量の化粧品を万引きしては友達に売りさばいていた高2の女の子です。これを演じてくれる女性を日々探し求め、ついに某弁護士の事務所の某事務員さんに行き当たりました。本番での彼女は、私がでっちあげた裏設定の数々を頭に入れつつアドリブを加え、「裕福な家庭であるが愛情に飢えており、違法性の意識が薄いため反省の弁も表面的である」という女子高生を見事に演じ切ってくれました。間違いなく今回のMVPです。


  4. さて今年の処分は

     少年が女性だったことの影響か、やや尋問が追及不足な感はありましたが(子どもでも女性には甘い?)、本件少年の最大の問題は家族関係にあるということには皆すぐ気付いてくれ、その視点からの処分を考えてくれました。その結果、一つの裁判体が出した処分内容は、なんと「家族での共同体験を得るため、夏休み中に家族全員で3000m級の山に登ってくる」というものでありました。場内は爆笑です。これを聞いたとき、企画者である私は、こういうのこそを待っていた!と内心ガッツポーズを取っていました。

     ですが・・参加者の一人はこれを聞いて「少年院に何ヶ月行くとかそういう処分になると思っていたのに、なんだかふざけてるみたいでつまらなかった」と怒っておられたのでありました。ご期待に添えず申し訳ない。でもね。僕ら、そういった類の処分にはほとほとうんざりしてるのよ。この日くらい夢を見させて欲しいな。お願い。






行事案内とおしらせ 意見表明