会報「SOPHIA」 平成19年6月号より

中途解約トラブル110番実施される

   消費者問題対策特別委員会 委員  小 田 典 靖


平成19年6月23日、愛知県弁護士会消費者問題対策特別委員会とあいち消費者被害防止ネットワーク(通称:ACネット)との共催で、中途解約トラブル110番が開催されました。

今回の110番は、特定商取引法第41条の特定継続的役務(エステティック、語学教育、家庭教師等、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの6業種の役務)に関する契約について解約トラブルが多発していることから、これらの中途解約を主たる狙いとしたものでした。しかし、110番のタイトルを「中途解約トラブル」とだけ銘打ったために、特定継続的役務以外の中途解約トラブルについても多数の相談が寄せられました。

また、経産省が、110番実施の直前である6月13日に、外国語会話教室の最大手であるNOVAに対し特定商取引法違反を理由に一定範囲の業務停止を命じ、そのことがマスコミで大きく取り上げられました。

そのため、午前10時の電話相談開始から午後4時の終了までの6時間、電話が鳴り続けるという大盛況ぶりでした。その結果、合計52件の電話相談を受けることができました。

内訳は、NOVAに関する相談が25件、そのほかの相談が27件でした。非常にタイムリーなときに110番が実施されたのだと思います。NOVAに対する相談の中には、VOICEチケットについて盗難被害にあったため再発行を求めたが応じてもらえない、解約を申し出たところ返金されるどころか追加金の支払いを求められた、などがありました。

そのほかの相談の中には、エステティックが3件、家庭教師が4件、語学教室が2件、資格商法が1件、学習教材が2件、マルチ商法が2件、そのほかが13件ありました。そのほかの中には、ロコロンドン金取引で仕切ってもらえないというトラブルや、建築請負契約の解約トラブルもありました。

近時、NOVAの約款が特定商取引法に違反するとの最高裁判例が出されましたが、継続的役務提供を巡る約款については、同じような問題が多々あり、今回の110番の結果からも中途解約について定めた約款に問題があることが痛いほど分かりました。

共催団体のACネットは、消費者契約法に違反する約款の差止請求権を行使できる適格消費者団体の認定を得ることを目指しており、今後、様々な約款について検討を重ねていき、消費者契約法に違反する約款についての差し止めを求めて行くとのことです。

また、今回の110番では、ACネットの関係で、4人の消費生活相談員やアドバイザーの方々に参加していただき、大変活躍していただきました。彼女らの豊富な相談現場の経験は、我々弁護士にとって非常に勉強になりました。関係団体が手に手を取り合って協力していくことが消費者問題を解決するための大きな力になるのだと思います。






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