会報「SOPHIA」 平成19年4月号より

受け継がれる意思、「遺言の日」開催される

高齢者・障害者総合支援センター運営特別委員会
委 員  山 下 陽 子

1、はじめに
4月14日、中日ビルにて、「遺言の日」の記念行事が開催された。「ヨイユイゴン」のゴロから4月15日を「遺言の日」とし、遺言・相続に関する知識の普及を目的に2005年度から全国的に行事が行われている。本年度の当会の企画概要は、中日新聞「老いの風景」の連載でお馴染みの渡辺哲雄氏による講演と、当会会員の無料法律相談の2部構成であった。当日は180名もの参加者があり、大盛況であった。
2、観客の心をがっしりつかみ・・
講演とは知識を伝えるのではなく、人間としての意思を伝える場であるとする講師の言葉どおり、参加者はもちろん、会場の隅でひっそり拝聴していた私もすっかり渡辺氏の話に引き込まれた。
 何事にも我慢強く、肝っ玉のすわった祖母と、そんな祖母の影響を多分に受けながら堅実に子育てをする母、さらにそんな2人の女性の愛情を一身に受けて育つ哲雄少年の物語は、時に会場を爆笑の渦に包み込み、かと思えば目頭が熱くなるような場面もあった。会場は常に一体感を持ち、さながら中高年に大人気の綾小路きみまろのライブのようであった。  講演も後半に入り、祖母の介護に話が及ぶと、実際に介護を経験した者ならではの苦悩や焦燥感あふれる話が胸をうった。
 寝たきりとなり食事にも介助が必要であるのに、自分の好きなテレビが見たいがために、介助を早々に切り上げたこと、誕生日祝いにと食べさせたマグロの刺身を吐き出されて腹がたったこと。
 どんなに心ある人でも、他人には覗かれたくない卑しい自分を持たない人はない。介護する者は、そんな自分の内面をまざまざと直視することを迫られ、自分に落胆しながらも、目の前の生命が最後に遺す意思を感じ取り、受け継ぐ使命を負うのかもしれない。
 講演の時間は瞬く間に過ぎた。必ずしも遺言を主題にした講演ではなかったが、意思を受け継ぐという遺言の本質にも触れるような話であり、大変満ち足りた気分で講師に拍手を送った。
3、法律相談
引き続き、当会会員による無料法律相談が行われた。事前に相談者を募ったところ、用意した予約枠がすぐに埋まるほどの人気振りであったという。
 遺言のみならず、成年後見制度等も含めた財産管理に関わる相談が多く寄せられ、関心の高さがうかがわれた。事前の広報も含めて、遺言に弁護士が関わることの良いアピールとなったと思う。





行事案内とおしらせ 意見表明