会報「SOPHIA」 平成19年3月号より

外国人相談シリーズ
短期滞在からの在留資格の変更

   人権擁護委員会 国際人権部会  委員 湯 原 裕 子

Q1 私は現在外国で暮らしている女性と(@結婚A養子縁組)の約束をしています。
 一度相手の国に行って手続してからでなくとも、とりあえず観光(短期滞在)ビザで呼んで、日本で手続をして、資格変更の手続をすることはできますか?

1 入管法20条
 同条は、在留資格の変更につき、
「3(在留資格変更の)申請があつた場合には、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる。  ただし、短期滞在の在留資格をもって在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。」 と定めています。
 そこで、この「やむを得ない特別の事情」があるかが問題となります。
2 @日本人配偶者のケース 
「明白性」を要件として認められます。
 単に入籍しただけでは難しいですが、同居など明らかに夫婦であることの証明ができ、継続した在留を認めるべき婚姻実態がある場合などは認められる余地があるでしょう。
3 A養子縁組のケース
 東京地裁平成6年3月30日判決は、日本人と養子縁組をした外国人である原告らが、養親と同居することを理由として在留資格を「短期滞在」から「定住者」等に変更する旨の許可申請を法務大臣が不許可と処分した事件について、
「短期滞在の在留資格を有する者からの変更申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものであることを要するところ、短期滞在の査証の発給は比較的容易になされるものであり、当初から長期在留等を目的として入国しようとする者との公平を図る見地から、短期滞在の在留資格で入国したものが長期在留等を希望するときには、いったん出国し、その在留目的に見合う査証を所持して、入国審査を経て入国するのが本来の形態であるから、このやむを得ない特別の事情とは、
(1) 短期滞在の在留資格を有する者について入国後に新たに在留資格の変更を必要とする事情が発生したこと、
(2) 当該申請者がいったん出国してしまうと、その変更申請に係る在留目的で再度入国することが極めて困難であること
等の特別の事情をいうものと解すべきである。」
と判示しました。((1)(2)は筆者注)
 このように、養子縁組の場合は配偶者の場合より難しいと思われます。

Q2 短期滞在ビザで日本に来て就職活動をし、就職先が決まりました。このまま在留資格を就労ビザに切り替えて引き続き滞在することはできますか?

 この場合、就職先が決まったら、入管に在留資格認定証明書の交付申請をします。
 短期滞在ビザの在留期限内に、在留資格認定証明書が交付されれば、それを添付することを条件に、短期滞在から就労ビザへの変更は可能です。










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