会報「SOPHIA」 平成19年1月号より

憲法問題シリーズ第12回
「この国のかたちと憲法改正 PART7」開催される

   憲法問題特別委員会  委員 樽 井 直 樹

1  憲法問題特別委員会は、昨年1月から、各政党の国会議員を招いて「この国のかたちと憲法改正」をテーマとした連続学習会を開催してきた。

1月25日に、連続学習会の第7弾として、民主党の千葉景子参議院議員を招いた学習会を開催した。

2  千葉議員は、憲法問題の対立点が従来「護憲か改憲か」で推移してきたが、今議論されているのは憲法改正ではなく、新たな憲法の制定であるとし、しかも議論されているのは「権力をコントロールし、国民の権利を守るため、権力がやっていいこと、いけないことを決める」という意味の憲法ではなく、「新しい国のあり方を示す宣言」という位置づけが大きいと指摘。憲法改正国民投票法について、憲法で定められた事項ではあるが、新しい憲法の制定ということと本当にかみ合うのかという違和感を表明した。

その上で、千葉議員は、民主党の「憲法提言」について説明した。民主党の提言については、昨年1月に開催した学習会で、提言の作成に関与した古川衆議院議員からも説明を受けたことであるが、千葉議員は、民主党の憲法提言について、憲法の位置づけは「権力をコントロールするものである」というのが第一にあることを強調した上で、民主党にも「新しい国のあり方を示す宣言」という要素のあることを表明。しかし、議論されてきたのは、これからの社会は、地球規模での様々な課題や、次世代に対し、われわれがどう責任を果たすのかを示す必要があり、国に対して、国民が義務を果たすというものではなく、グローバルなもの、次世代に対する宣言という点で、自民党の草案と対立軸になるものと理解していることを強調された。

その上で、千葉議員は、憲法調査会の議論は衆参で温度差があり、憲法に関する合意は、国会内でも易々と図れるものではないとし、議員自身は、憲法に一切触らせないと意固地になる必要はないと考えるが、法律でできることも多いとし、憲法改正や新憲法制定などする必要はないと表明した。

また、千葉議員は、今国会での制定がいわれている憲法改正国民投票法について、与野党ほぼ合意がなされていると報道されているが、投票の対象を憲法改正に限るのか重要政策に関する国民投票を含むのかで根本的に異なっており、丸ごと合意するのは容易ではないし、衆参でも議論の進捗状況が大きく異なっているとし、特に参議院は憲法改正には慎重な考え方が多いと指摘し、今国会はなんとか押しとどめたいと決意を述べた。

そして、憲法改正の流れが既成事実として作られている下で、その流れを何とか食い止めるためには、「改正はだめ」といっているだけでいいのか、今の流れを押しとどめるために、憲法のいいところを明確にし、新たな課題を明確にするという気持ちが民主党の提言にはあると思っていると強調された。

3  弁護士出身で、民主党内の護憲派とされる千葉議員の論旨は極めて明晰で、出席者との質疑も、国民投票法案成立の可能性、自民党との対立軸を明確にするためには改憲を打ち出すべきではないのではないかなど、活発に交わされた。

憲法問題特別委員会は、各政党から憲法に関する意見を聞く連続学習会はこれで一旦終了し、次年度以降も新たな学習会を開催する予定である。






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