会報「SOPHIA」 平成18年12月号より

憲法問題シリーズ第11回
憲法の持つ素晴らしさを生かそう
〜こくた恵二議員を招いての憲法学習会〜

   憲法問題特別委員会 委員
西 尾 弘 美

1 平成18年12月19日、日本共産党衆議院議員のこくた恵二さんに来ていただき、憲法学習会を開催した。

当日、こくたさんは、中越地震で被災した新潟県小千谷の紬の着物で登場された。大学時代から京都で暮らしていることもあり、地場産業を応援する気持ちから年40回くらい着物を着ると言われた。


2 講演の前半は、臨時国会での2大汚点として、教育基本法の改悪と自衛隊の海外派兵の本務化について話された。

「改正」教育基本法は、憲法19条に反し、国を愛するという価値観を強制するものとなっている。また、行政が教育を支配することを許す内容となっている。教育基本法は、戦前に行政が教育を統制した事への反省から定められたものであるのに、それを改悪した。教育基本法改悪での一連の経過を見ると、結局、教育基本法の何が悪いという明確な話はなく、「やらせ」タウンミーティングで世論を誘導するしかなかった。国民の声を聞かず、教育現場の声にも反するものだと厳しく批判された。


3 次に、防衛「庁」を防衛「省」に昇格させるとともに、自衛隊法を「改正」して、海外派兵を本務化したことについて話された。

自衛隊の海外派兵は、米軍の活動に対する支持活動が中心である。海外派兵の本務化は、自民党の「新憲法草案」で自衛隊を自衛「軍」にして海外派兵も規定していることとの整合性を図ったものであり、改憲の先取りであると、その重大性を指摘された。


4 続いて、国民投票法(「改憲手続法」)についても、話された。

国民投票法は、そもそも改憲と連動しているものであり、規定内容としても、有効投票の過半数で改憲できるとしているので、投票率が低ければ、有権者の2割の賛成でも改憲が可能であるという問題点を批判するとともに、与党が臨時国会で成立させると言っていたのを阻んだのは、国民の反対運動の成果だと評価された。


5 講演の後半は、日本共産党の目指す改革と日本国憲法というテーマで話された。

今の日本には、・侵略戦争の反省がない、・アメリカの言いなりである、・極端な大企業中心主義であるという異常さがある。これを変えることが必要であるが、そのためにも憲法の持つ素晴らしさを生かすことが大事である。特に、今の憲法改悪は、アメリカの軍事的な要請に基づくものである。海外派兵の本務化は解釈改憲の極致だが、集団的自衛権は認められない。アメリカは、憲法9条を変えて、これを行使できるようになることを要求している。

しかし、9条を守ろうという国民の声は広く存在している。例えば、京都の金閣寺などのトップの方たちが9条を守ろうと言っている。国際的にも、9条は評価されている。

京都は、民主的な蜷川府政が長く続いたが、その時代、憲法手帳というものを作って府民に配布した。先人がこうやって憲法を守り生かそうとしていたことを受け止め、がんばりたいとして、話を終えられた。

その後、約1時間、教育基本法の問題、イラク派兵の問題、軍事的な問題だけでなく、いろいろな面で日本の政治はアメリカの要求によって動かされているのではないかなどについて、活発な質疑応答がなされた。






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