某月某日 今日は、当番弁護の指定日である。普通ならファックスで当番弁護の接見指示があるのだが、事務局から電話。
「先生、A署在監の被疑者から選任依頼があるので行って下さい」とのこと。
夜、A署へ。A署は遠い。私は普段、仕事に自動車を使わないので、公共交通機関で行くのに不便な場所にある警察署に接見に行くのは大変である。
さて、接見をする。話を聞くと、酒に酔って、コンビニエンスストアの店員に絡み、暴行をし、店のガラスを割ったということで暴行と器物損壊で身柄を拘束されている。身柄拘束は厳し過ぎるのではと思って事情を聴くと、取調に素直に応じず、反抗的な態度を取ったらしい。とりあえず、今後の見通しを話し、弁護人選任届を作成する。早く被害者と示談をして、早期釈放と不起訴処分を目指すことを確認する。
某月某日 以前共同で刑事事件をした某弁護士から共同受任のお誘い。上場企業が絡む大きな事件。そのような事件の経験はないが、とりあえず毎日接見をするので、手分けして接見をして欲しいとのこと。
某月某日 国選事件の公判期日。覚せい剤自己使用の自白事件。被告人は地方の離島出身であるため、両親の在廷は経済的にも無理とのことで、変わりに両親からの手紙を情状証拠で提出する。前日に接見した時にお兄さんが傍聴に来るという連絡があったということを聞き、待っていたが、時間になっても来ず。と、思っていたら、どうやら法廷を間違えたらしく、公判後に書記官から連絡があり、お兄さんと面談をする。
某月某日 共同受任の事件は、いわゆる通知事件で、指定書を持参しなければ接見できないわけではないが、念のため検察官に接見の指定書をもらう手続をする。初めての経験で、どうなるのかと思っていたら、検察庁からファックスで指定書がきた。拘置所の受付に指定書を示して、接見の手続をする。
この事件の接見は、共同受任の某弁護士が、担当検察官と交渉をして、土曜日・日曜日も接見を勝ち取り!本当の意味での連日接見を実現することができた。これまでの経験では、休日の取調で不利な自白を取られてしまうケースもあったが、今回はどうだろうか。
某月某日 以前別の消費者事件でお世話になった某弁護士から、少年事件の付添人をやってくれないかとのこと。話を聞くと、審判期日まで2週間もないことが判明。保護者へ連絡を取り、鑑別所に面会に行かなくては…。
某月某日 暴行と器物損壊の被疑者の件で、被害者の方へ示談のための連絡。ある程度警察を通した示談の話しがあったらしく、示談金を持参して、示談書を作成してもらうことを約束する。その旨を担当検察官に連絡。勾留満期に近くなっているのに未だ被疑者取調べをしていないことをそれとなく抗議する。
某月某日 少年事件の審判。仮退院中の再度の非行で、中等少年院送致の審判。少年にはこの機会をよい方向へ生かすように伝える。
某月某日 示談成立。示談書を検察官にファックスし、翌日の勾留満期日に不起訴釈放。
でも、身柄拘束の必要性があったのか?疑問。
某月某日 連日接見した事件は、第1回公判前にもかかわらず保釈許可。とりあえず正月を家族と過ごしてもらえることにほっとする。
久しぶりに刑事事件が立て込んだ忙しい日々が(少しの間だけ)終わった日。