呉服次々販売被害の実態
(110番の結果より)
- 突然ですが、みなさんは普段、着物を着る機会というのはどのくらいありますか?また、着物についてどの程度知識がありますか? 通常は、日常生活で着物を着る機会も知識もほとんどなく、従って着物と言えば非日常的で、なにか特別なもののような印象を受ける人が大半だと思います。
このように、私たちの日常生活にはほとんど馴染みがなく、従って需要もあまりない呉服なのですが、近時、主に女性、高齢者を対象として、その名のとおり、着物や小物などを次々と購入させるという、呉服次々販売の被害が多発しているということです。
- そこで、その実態を把握するため、去る5月11日、当会消費者問題対策特別委員会と名古屋消費者信用問題研究会との共催で、「呉服次々販売110番」が開催されました。この110番の集計結果は次のとおりとなりました(架電件数総数37件)。
被害者は今回、全て女性でした。そして年齢層は50代をピークとして、40代から70代の中高年層が中心となっておりました。職業はパートや年金暮らし、無職が多く、収入は月額20万円未満という人が5割以上と、大半を占めていました。
他方、クレジットを利用しているケースがほとんどで、クレジット契約総数が10件以上という人が全体の2割を超えていました。そして、被害総額もほとんどが数百万単位であり、なかには2000万円以上と支払能力をはるかに超えているケースも7件あったなど、全体的にかなり高額となっておりました。このように、この被害の拡大には、クレジット制度が重要な役割を果たしていることが見て取れます。
また、販売態様については店頭販売が最も多く、以下、訪問販売、展示会販売と続きました。
被害者への勧誘手段としては観劇会や食事会などに無料で誘う、高額のプレゼントを送るなどのほか、なかには、はじめからクレジット代金の支払方法を引き落としではなく店頭持参と決められ、毎月代金を店頭に支払いに行くたびに勧誘を受け、あらたに購入させられていたという巧妙なケースもありました。
このように、集計結果からは、パートや年金生活等、収入の比較的多くない被害者に対して、クレジットを利用させることで次々と高額な着物等を購入させるという被害の実態が浮き彫りになりました。
- そして今回、このような実態を受けて、呉服次々販売被害弁護団が結成されました。
弁護団としての今後の活動としては、最終的には既払金の返還までを視野に入れて、被害者らに対して直接勧誘・販売した販売業者のみならず、被害者らに安易に与信を行い、業者の違法・不当な販売に対する便宜を図り、助長した信販会社に対する責任をも併せて追及していく方針です。
|