駆け込み寺・BRC活用法
放送と権利に関する委員会(BRC)が設立されて本年で10年目に突入するとのことで、4月15日、報道被害者支援ネットワーク・東海の主催で、シンポが開催されました。
報道被害者支援ネットワーク東海の宣伝を兼ねてご報告します。
講師は、放送倫理・番組向上機構(BPO)元専務理事、元NHK編成主管で、現在椙山女学園大学教授をされている大木圭之介氏。
椿発言をきっかけに放送への権力介入を防ぐため、やむなくBRCを設立した経緯も率直に述べられ、放送業界の反対の中、視聴者の立場に立つことを念頭に活動をしてきたこと、BRCへの申立・審理の状況等を説明されました。また、テレビによる報道被害に対して、テレビ自身が速やかに被害回復の措置をとるという本来の面だけでなく、対権力との関係では報道の自由を守るという役割も合わせ有しており、総務省からの介入の防波堤になることも重要な役割であるとのことでした。そのためにテレビ側も視聴者からの信頼を得なければならず、NHKの取材費などのごまかしや政治介入はあってはならないと強調されていました。
今後の課題として、設立後丸9年が経とうとしているが、まだまだ一般に周知されておらず、広報にも更に重点を置いていきたいこと、事務局が東京にしかなく、東京以外の人はまだまだ申立がしにくいことなどをあげられていました(申立人が東京へ来る際の旅費は支給しているとのこと。これは知らなかった)。予定の1時間を越えて公演をされた。
その後、会場を交えて質問会・意見交換会となり、BRCの勧告や見解が、放送局にどのように受け入れられているかなどの質問があしました。大木氏からは、発足当初は、権利侵害と認められる場合に出す「勧告」の場合には、放送局も謝罪等をしたが、権利侵害とまでは言えないが放送倫理違反とする「見解」の場合は、放送局の対応は「やれやれ」という感じであった。しかし、最近は「見解」でも申立人に謝罪するなど、放送局の対応は申立人にとってもまずまず満足のいくものであるというお話でした。テレビは放送法により政府の規制を受けやすいメディアであり、規制を受けないためにも放送局が自律するという雰囲気はでてきているとのことでした。
発足当初は「勧告」のハードルは極めて高いという印象でしたが、だんだん使える機関になってきたようです。
新聞・雑誌にも、このような機関を作る機運はないかとの質問もありました。
メディアは危機に立たないと動かない。新聞が独禁法の関係で政府から締め付けられているが、まだその機運はない。BPOの年間予算は3億であるが、新聞界でそれに匹敵する資金を集めるのは難しいのではないかと悲観的な回答でした。現場ならではの興味深いお話と感じました。
BPOの詳細については、HPを参照して下さい。 http://www.bpo.gr.jp/brc/index.html
さて、報道被害者支援ネットワーク東海については、発足してやっと2年がたち、昨年の相談は16件。知名度も少しだけアップしてきたようです。相談者がなかなか結果を報告してくれないので、結果の集計はできていませんが、局から謝罪文を関係先に送付させた件もあり、それなりの成果も残せています。
興味のある方は下記HPをご覧下さい。入会大歓迎です。 http://www.hodohigai-tokai.gr.jp/
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