会報「SOPHIA」 平成18年3月号より

キャプナ弁護団

―会議風景、子どもの虐待防止のやりがいと居場所の源泉―

キャプナ弁護団事務局長・CAPNA監事
川 上 明 彦

  1. 会議の風景
  2.  午前11時30分から三三五五に割子弁当を食べ始め、あちこちで雑談をしているうちに、会議は始まる。私は、隣に座る次長の高橋直紹さんに開始を促す。高橋さんの司会で、20例近い現在進行中の児童虐待事件の進捗状況につき各担当者から報告と問題点の指摘があり、真剣かつにこやかなアドバイスや意見交換が続く。その頃には毎回若いメンバーを中心として常時30名近くが集まり弁護士会館の会議室は熱気に溢れる。毎月1度の割合で開催されるキャプナ弁護団会議の見慣れた風景である。

     この3月の会議では、例えば、あるケースに伴う児童福祉法28条2項の2年経過に伴う措置の「更新」が話題となった。豊橋の河邊さんから実務の落ち着きを考えながら東三河での指導方針が紹介された。会議は「28条って何?」という新人メンバーにも最前線のベテランメンバーにも実践的な研修・勉強の場になっている。

     児童虐待問題は重く、弁護士の心にも重い。キャプナ弁護団は、この重さを皆で一緒に考えることで、一人一人の心を軽くさせ、疲労防止の効用もある。やりがいを実感しながら息長く活動をする。「気楽さ」もキャプナ弁護団のモットーである。

  3. キャプナ弁護団
  4.  キャプナ弁護団は、子どもの虐待防止に関心を持つ弁護士有志の集団である。昨年末には、団員数は実に100名を超えた(県内80名余、県外20名程)。

     1995年、当会の呼びかけで児童虐待防止活動を行う市民団体として、子どもの虐待防止ネットワークあいち(通称、CAPNA 2000年4月からはNPO法人)が設立された。多くの方は、ご承知のとおりCAPNAは、全国屈指の市民団体に成長し、全国の民間団体のネットワークの中核にまでなっている。

     キャプナ弁護団は、1997年1月、CAPNAと協力・連携を目的として、奔走する多田元、岩城正光の両弁護士の過重な負担軽減も目指した。結成当時26名であった。現在100余名となり、キャプナ弁護団は、いよいよ人的パワーを増し、活動も幅広く進化している。キャプナ弁護団は、児童虐待防止に関するネットワークの一翼を担うとともに、2003年4月からは、愛知県との虐待防止に関する委託契約を結び、2004年4月からは名古屋市とも同様の委託契約を結んでいる。キャプナ弁護団は、各児童相談所(愛知県9箇所、名古屋市1箇所)に、担当弁護士を派遣して児童相談所の相談を受け、あるいは、児童相談所長の代理人としての活動も行っている。そして、被虐待児の代理人、被虐待児の親などの代理人、時には虐待親の弁護活動を行うこともある。いずれの場合も、子どものための児童虐待防止を基軸としており、児童虐待関連ケースへの対応である。弁護団全体で全てのケースを担当するわけではない。ケースが入ると団員に参加を募り、数名でその個別ケースを担当している。団長職は置いていない。

  5. ひとこと
  6.  キャプナ弁護団は、「子どもの笑顔」を見るために、若い弁護士を中心として、真剣に、気楽に、語弊はあるが活動を皆で一緒に楽しみながら、それぞれできる範囲でがんばっている。やりがいと居場所の源泉である。






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