愛知弁発291号
2006年(平成18年)2月22日
ハンセン病の患者であった人々の人権を回復するために(要望)
2001年5月11日のらい予防法違憲国家賠償請求訴訟における熊本地方裁判所判決から4年を経過いたしました。ところが、医療体制・生活支援体制の不備、根深い差別偏見の継続など、ハンセン病の患者であった人々の人権はなお十分に回復されていない現状にございます。この点は、2005年3月1日に公表されましたハンセン病問題に関する検証会議の最終報告書にも明らかです。これらをうけて、2005年9月28日付で日本弁護士連合会は、国に対し、ふたたび「ハンセン病の患者であった人々の人権を回復するために」勧告を決議し、貴県にもご送付申し上げているとおりでございます。
当会ならびに日本弁護士連合会は、貴県はじめ、関係省庁とも連携して、ハンセン病問題の早期かつ全面的解決に向けて真摯な努力を続ける所存です。
ハンセン病の患者であった人々の高年齢化が進むなか、貴県にお住まいであったり、あるいは、貴県ご出身で帰郷を希望されているハンセン病の患者であった人々が、当地において、安心して生活していけるように諸政策を講ずることは、喫緊の課題です。
貴県では、専任の保健師によるハンセン病相談窓口が設置され、年に2回、専門医による療養相談も実施され、一方で、県営住宅の優先的あっせんも実施を予定しているとのことですが、すべてのハンセン病の患者であった人々にかかる情報が届いているか疑問なしとしません。そこで当会は、貴県に対し、医療も含め、ハンセン病の患者であった人々の生活の様々な場面での相談に応ずる窓口(上記勧告第2項に記載した生活支援相談窓口)の開設についての広報を周知徹底されるよう要望するものです。
又、貴県が「無らい県運動」をすすめた歴史をふまえ、上記勧告第3項の差別偏見解決等についても、冊子「ハンセン病の記録−ハンセン病とともに偏見差別のない愛知をめざして」の有効活用や児童、生徒らへの教育も含め、一層の充実を要望するものであります。
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