会報「SOPHIA」 平成17年12月号より

悪質リフォーム業者を叩く−点検商法弁護団活動報告−

点検商法弁護団事務局 稲 熊 公 孝
 

  1. 点検商法とは
  2.  点検商法とは、「床下の点検に来た。」などと言って床下に入り込み、撮った写真を見せながら、「柱がずれている。」「床下が湿気ている。」などと不安感を煽り、言葉巧みかつ執拗なセールストークで、不要かつ不当な内容の工事を高額な金額で契約させる消費者被害です。  平成17年は、埼玉県の認知症の姉妹が点検商法の被害に遭い自宅が競売の申立を受けるという事案がマスコミ報道されたこともあり、会員各位におかれても広く認識されていることと思います。

  3. 点検商法弁護団
  4.  点検商法弁護団は、愛知県内でも点検商法の被害が多く発生しているらしいとの情報が寄せられたことを切っ掛けにして、平成16年12月に消費者問題対策特別委員会所属の弁護士を中心として9名で結成した弁護団です(現在は15名)。  活動内容としては、事務局で相談希望者を受け付けて各弁護士に配分した後、各弁護士が個別事情を聴き、業者や信販会社との任意交渉を個別に行います。そして個別交渉が困難な事案について集団提訴を検討するというやり方を採用しています。  業者の中にはかなり悪質な者もあり、弁護士が受任通知を発送するや否や、業者側の人間が被害者宅を直接訪問し、被害者が示談書を作成させられたりしたこともありました。この業者に対しては、おそらく全国初と思われる集団訴訟(原告9名、被害総額約1億円)を提起しました(既払金については訴訟外の和解が成立)。その後、同社の関係者に対しては刑事裁判が提起されています。

  5. 点検商法に対する法的主張
  6.  点検商法は多くの場合、訪問販売の形態をとっているので特商法の適用があり、クーリングオフの期間内ならば、内容証明1本で事案を解決することができます。  クーリングオフは、法定の書面が交付された日を起算日として期間制限に服しますが、交付された書面の記載が欠落している場合(不備書面)や虚偽の記載がある場合(虚偽書面)にはこの期間制限が開始しないものとして扱われますので、同書面に記載すべき事項を特商法5条1項や省令3条などを参照してチェックすることになります。  その他、消費者契約法や公序良俗違反も主張することになります。

  7. 問題点など
  8.  点検商法を行う業者の中には名前をコロコロと変えるところがあり、少し古い被害事例では契約書の住所では郵便が届かないことがあり、代金を既に支払ってしまった場合には、被害の回収が困難である点が挙げられます。  しかし、その様な場合でも、未払クレジットが残っている場合には、信販会社を相手に立替金支払債務を争う実益があります。

  9. 点検商法弁護団の今後の展開
  10.  8月に提起した第1次集団提訴は未払クレジットの不存在確認が残っており、また12月には第2次集団訴訟(原告13名、被害額1億円以上)も提訴しました。  他方、最近では、県内の福祉施設からの電話相談も入るようになりましたので、新たな被害の掘り起こしも必要だと思っています。 (点検商法弁護団事務局 専用電話 052−961−1252 平日 10:00〜15:00 期間 当分の間)






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