会報「SOPHIA」 平成17年12月号より

【特集】アジアの平和と日本国憲法を考える
【シンポに参加して】



台湾、名古屋大学大学院法学研究科  林 美鳳
 

 今回「アジアの平和と憲法第9条」のシンポでは、様々な意見をうかがうことができて、とても勉強になりました。大学キャンパス内での生活だけでは、日本の方々の幅広い意見に接する機会が少ないので、今回日本の若い方々の考えを知ることができたのは、新鮮でよい刺激になりました。中には、初めてうかがうような意見もあり、興味深く、日本社会への理解もより一層増したと思います。

 歴史上、アジアの平和は台湾の運命に絡んでいるので、台湾に生まれ育った私は、アジアの平和を強く希望しています。しかし、このような平和は、強大な軍隊によって築かれるとは思いません。世界の王者になりたいならば、軍隊が必要かもしれませんが、地域の平和および国民の保護には、軍隊より民主主義の実現のほうが大切だと思います。

 国と国の間に国境領土の紛争は度々発生するかもしれませんが、このような問題は、予め想定可能であって、国際機関の仲裁を通じて解決できると思います。憲法9条は、歴史反省の産物であり、東アジア諸国に対しては、一つの歴史の共通理解だと思います。最近、反日問題がしばしば生じていますが、この問題は、9条によって、ある程度解決され得るものだと思います。シンポにおいて、私は、日本とドイツの状況を比較して、歴史反省の問題を提起しました。ドイツは第2次大戦後に、諸隣国に責められる厳しい状況に置かれてそこから立ち直りました。しかし、日本は、幸か不幸かアメリカのシールドで隣国とそこまで接触しなかったのです。近年、国際情勢が変わり、アメリカのシールドがなくなって、風当たりが強くなり、日本はかつてのドイツが置かれていたような状況下にあります。ここで、平和の信念を貫くならば、日本はこの窮境から脱出できるのではないかと思っています。現在、憲法9条は、アジアの平和への一つの道であり、守るべきです。



韓国、名古屋大学大学院法学研究科  孟 觀燮
 

 愛知県弁護士会主催の憲法9条の改正問題に関する討論会は、大事な意味のある時間でした。

 特にアジア各国や日本の若者たちと意見を交換し、討論したことは個人的にも光栄だったと思います。日本とアジア各国の立場が違う所も、一致する所もありましたが、お互いに心を開いて意見を交換するとこのような難しい問題も解決できるという希望を与える討論会でした。このような討論会を通してアジア各国と日本が発展的な方向に協力して行くことを望みます。私は法学を専攻している韓国の留学生として、韓国の立場から以下のように考えてみました。

 最近、韓国では小泉総理の靖国神社参拝について激しい反発があります。また、憲法9条改正の動きについても疑惑の視線で日本を見ています。韓国人は、このような一連の状況が日本の軍事大国化に繋がるのではないかという心配を持っています。今も、韓国では日本の植民地時代の従軍慰安婦など、被害者が存在しています。戦争が終わって、60年が経ったとしてもその人々の被害が無くなるわけではないのです。被害者が多い韓国人の立場から、小泉総理の靖国神社参拝問題や憲法9条の改正問題について反発するのは当然であると思います。日本側の真心の反省と柔軟な姿勢が必要ではないでしょうか。このような動きは、戦争について反省している日本国民の感情にも反しているのではないかと思います。これからは世界各国が協力して平和な未来を作っていく時代です。憲法9条、すなわち平和憲法を維持し、アジア各国との協力関係を重視する日本になることを望みます。







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