会報「SOPHIA」 平成17年9月号より

裁判員法廷 お披露目

副会長 伊 藤 倫 文
 同  小 川   淳



 平成21年5月までに「裁判員制度」がはじまるのにそなえ名古屋地方裁判所の2号法廷の改修が進められていたが、9月15日、マスコミに対して完成披露がなされた。


改修のポイントは、

  1. 法壇は、裁判官3名の両脇に3名ずつの裁判員が座る形になり、横の長さが従来の5メートルから8メートルになるとともに、意思疎通がしやすいよう円弧状とした、
  2. OA機器に対応するための配線を床下に配置することとしたため、従来より床面が10センチメートル高くなった(傍聴席部分は従前通り)、
  3.  2の結果、法壇と当事者席との高低差が10センチメートル縮まったため、一般に言われている威圧感が、和らいだ印象をあたえることになった、
  4. 法卓が1メートル程度、前に移動されたたため、傍聴席が1列少なくなり、従前の96席から80席に減少した、

などである。

  また、従来は法壇に向かって右手が弁護人の着座位置であったが、将来は、被告人の入廷との関係で、向かって左側が弁護人席になる可能性もあるとの説明であった。

 また、この改装されたばかりの2号法廷を用いて、10月5日には、法の日記念行事の一環として、法曹三者の協力のもと、模擬裁判員裁判が行われた。これまで行われた模擬裁判員裁判とは異なり、50席を一般市民に開放するとともに、裁判当日の報道機関のカメラ取材は、裁判中であると否とを問わずフリーとし、傍聴席や裁判員へのインタビューも制限しない、という対応方針をとったことが大きな特徴であった。


 裁判員制度が円滑に実施され、司法の国民的基盤が確立されるようにするためには、国民が同制度の意義を十分に理解し、積極的に裁判に参加することが不可欠である。このために、今後、同制度に対する効果的な広報活動を充実していかなければならない。今般の法廷披露や、法廷を利用しての模擬裁判の試みは、こうした広報・啓発活動として貴重な取り組みであった。








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