会報「SOPHIA」 平成17年4月号より

簡易裁判所民事事件相談窓口が設置される


業務対策委員会担当副会長
   伊 藤 倫 文

 本年4月1日に、簡易裁判所民事事件相談窓口(通称 簡裁事件相談窓口)が設置された。

 従前、弁護士会には、少額事件相談窓口が設置されていたが、
・ 相談対象が90万円以下の民事事件
・ 相談日が週2回
であった。

 ただ、昨年4月1日から簡易裁判所の事物管轄が140万円まで拡大されたことに伴い、従前の少額事件相談に関わっていた業務対策委員会において、今後は、簡易裁判所の民事事件全般を相談対象とすることを明確にした相談窓口を設置すべきではないかとの意見がでてきた。

 その主な理由は、我々弁護士としては、簡易裁判所に管轄のある少額の民事事件についても精力的に取り組んでいく必要があること、また、実際に簡易裁判所の受付には、毎日多数の相談があり、需要もあると考えられることの両面からであった。つまり、簡易裁判所の受付での対応には限界があり、相談が形式的なものでなく、内容面にわたる場合には、裁判所窓口では対応できず、その結果、内容面の相談をしようとする市民としては、改めて、栄法律相談センター等での相談をすることになってしまうが、これは市民にとって、あまりに煩わしく、すぐ近くに会館を有する弁護士会の法的サービスの提供としては、あまりに不親切であるとの考えに基づくものである。

 そこで、業務対策委員会内などにおいて、簡裁事件相談窓口の設置を検討し、簡易裁判所の受付にきた市民がすぐにでも相談できるとの体制を整える必要からも、簡易裁判所のすぐ近くにある弁護士会館で、相談窓口を毎日設けることにした。

 ただ、簡裁事件相談窓口を設置することが具体化してきた段階では、本年4月以降の相談担当者の割り付けが終わっていたため、従前、弁護士会館で相談窓口を開いていた不動産競売買受相談(月水金の午後1時から3時まで)と少額事件相談(火曜 午前10時から12時、木曜 午後1時から3時)の相談担当者において、簡裁事件相談を行っていただくことで、この4月から相談を開始することになった。そのため、月水金には、不動産競売買受相談と簡裁事件相談が併設されることになり、また、4月以降の相談実績をみたうえで、9月以降について、午前の相談を残すか、あるいは、毎日午後の相談にするかを検討することになっている。

 現段階での本相談窓口に関する広報としては、チラシとホームページでの紹介程度であって、十分なものとはいえないが、それでも4月の相談件数は6件であり、昨年1年間の少額事件相談が20件であったことに比べれば、かなり増加しているといえる。

 今後、栄法律相談センター等に行かなくても、簡易裁判所のすぐ横で弁護士の相談が受けられるということが周知されれば、相談件数は飛躍的に増加するのではないかと考えている。また、会員においても、簡裁事件相談窓口の存在意義を理解していただき、より多くの会員が相談担当者となってもらえることも期待している。

 なお、本相談窓口においては、簡裁民事事件を本来扱うものであるが、それ以外の相談を受け付けないというものではなく、予約なしで相談が受けられる窓口としてもその存在意義があると考えている。