| 第1 | 
									はじめに | 
								
												
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													 成年後見制度における市町村長による申立制度はその活用が不十分である、また、高齢者に対する虐待が問題となる一方、潜在化事例が多いと言われています。そこで、昨年、中部地方6県における市町村にご協力を頂き(依頼市町村数343、回答率76.97%)、市町村申立および虐待に関する実情と制度整備状況についてアンケート調査を行い、平成17年1月28日に開催された高齢者・障害者権利擁護の集い(テーマ:行政・医療との連携)にて報告を行った調査結果を紹介します。 
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									| 第2 | 
									市町村申立制度について | 
                                
												
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																| 1 | 
																利用状況 | 
															 
															
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																 市町村申立を利用したことがある市町村は平均で14%程度であり、活用状況が低調なことが明らかとなりました。低調な理由として市町村申立を必要とする事例がないと回答している市町村が多く、地域差があるとしても、行政と現場との意識のずれを感じました。 | 
															 
															
																| 2 | 
																市町村申立の体制整備について | 
															 
															
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																			| (1) | 
																			申立担当部署が設置されている市町村は回答を得た市町村の過半数を超えていました(64%にあたる162市町村)。 | 
																		 
																		
																			| (2) | 
																			申立担当部署が実際に事案を検討する際には第三者たる専門家による助言が必要となることも多いが、回答を得た市町村のうち83%しか専門家への相談体制を作っておらず、医療機関との相談体制(連携)が進んでいないことが明らかとなりました。 | 
																		 
																		
																			| (3) | 
																			 市町村申立のための事務取扱要綱(ガイドライン)は、回答を得た市町村のうち87%にあたる226市町村が設置していないと回答し、整備が遅れていることが明らかとなり、また、同要綱がないため申立に躊躇している場合や地域福祉権利養護事業等を成年後見制度申立の代替策として利用していると思われる結果も表れましたが、163市町村が今後設置する予定がある旨回答しているので、整備が待たれるところです。 | 
																		 
																		
																			| (4) | 
																			申立費用、報酬に関する予算化については回答を得た市町村のうち79%の市町村が予算配分の制度化もなされていない旨回答しており、市町村申立を行うための組織上の裏付けがないことが明かとなりました。 | 
																		 
																	 
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									| 第3 | 
									高齢者虐待について | 
                                
												
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												 高齢者虐待に関する市民向けの相談窓口は、回答を得た257市町村のうち82%にあたる211市町村にあるものの、虐待専門の窓口を設置している市町村は実は少ないことが明らかとなりました。また、その専門組織・機関を設置している市町村であっても、第三者である専門家が参加せず行政の職員のみで構成しているものが約20%でした。専門組織・機関を設置していない市町村のうち、現在の体制で個別対応可能であり不要と回答した市町村が99市町村、虐待事例がなく必要性がないと回答した市町村は18市町村あり、回答市町村中46%に相当しています。また、設置が困難である理由は職員の不足が最も多く、第三者の専門職の協力を得ることが困難であるとする回答が次いで多くありました。ここから、行政の職員が高齢者虐待の特徴を十分に認識していない、専門組織・機関の設置には行政組織上の制約が障害となっていることが明らかとなりました。 | 
											
												
													| 第4 | 
													まとめ | 
												
												
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													 今後は行政に対する啓蒙活動等とともに、参画すべき専門者も理解を深め、互いに連携をしていくことが必要と思われました。 |