会報「SOPHIA」 平成17年2月号より
アイズ発足から5年〜新たな課題に向けて〜
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高齢者・障害者総合支援センター運営特別委員会
委員長 池 田 桂 子
1、
「アイズ」の定着
介護保険制度と成年後見制度の施行に合わせて設置されたアイズも、当年度末で丸5年の経過を迎えます。当初は、権利擁護という新しい人権問題という観点から、高齢者・障害者問題の研究を行なう委員会と、支援弁護士の養成・支援、活動拠点の運営や管理機能を持ったセンター運営委員会の二つの委員会に分かれていましたが、昨年4月からひとつの委員会に統合されました。経緯をご存じなくとも、「アイズ」の名は、弁護士会々員の方々や福祉機関担当者にすっかり定着しているようです。ありがたいことです。
2、
充実した最近の活動
発足当時は、財産管理に関する弁護士業務が始まるからといって何処から手をつけて良いのか?戸惑いもありましたが、弁護士会がやらなければどこがやるの?といった使命感のようなものが先にありました。
5年経過をして、この間、高齢者・障害者問題は世の中のメインストリームとなり、アイズが企画するシンポジウムは、このところ大変な盛況振りです。
今年度は、福祉諸法で認められた市町村長の法定後見申立制度の活用を促すために、市町村担当者向けの講座を開催し、東海三県の自治体から5階ホールも溢れんばかりの参加を得ました。
また、権利侵害があっても高齢者・障害者から直接声を上げることが難しいのではないか、との発想のもとに、事業者セミナーの開催を続けていますし、事業者や行政機関からの相談に対して48時間以内にFAXで解決の糸口を回答する「ほっとくん」FAX相談なども好評です。
最近は、今まで手薄だった障害者問題にも、昨年の発達障害者支援法の制定(平成17年4月施行)などもあり、関心が集まっています。アスペルガー症候群に関する勉強会を開催したり、障害者の刑事事件など法廷での支援活動についても事例を集め検討会を行なったりもしています。
3、
課題〜期待に応えて
しかし課題も多いのが実情です。ネットワーク・連携の要の役割は重く、「地域で生活を支える」という壮大な課題には、人材・組織力の不足を否めません。活動は広がり、支部では支援弁護士の数が不足し、裁判所からのアイズへの後見人等の候補者の要請にも十分答えることが出来ない状態です。
また、社会福祉士会とは平成13年に協定書を交わし、以後多数回に亘り、協働して研究会やシンポジウムを開催しています。今後も予想される事業者団体、医療関係者・団体との連携もどのように進めるかが課題です。
契約社会に取り込まれた高齢者・障害者問題は弁護士誰もが取組む問題となり、アイズに持ち込まれる事件数も横ばい傾向にあり、しかも簡単な案件ではなくなりつつあります。持ち込まれる案件にアイズが監督責任を果たし、一方で弁護士と依頼者との間のトラブルを避け安心感を持っていただく工夫として、今後どのような事業を展開していけるのか、これからがアイズ事業の真価が問われているといっても良いと考えています。アイズを利用してください、そしてアイズに知恵を貸して下さい。アイズはこれからも寄せられる期待に応えたいと思っています。