「市町村担当者のための成年後見制度に関する講座」開催される

 

高齢者・障害者総合支援センター運営特別委員会
委員 稲 垣 高 志

 当会と愛知県社会福祉士会では、継続的に協議会を持ち、例年同様の企画を催しています(昨年は支援費制度についてのシンポジウムを行いました)。
 今年は、9月30日に、愛知県の後援を受け、標記講座を共催しました。
 老人福祉法等は、市町村長に対して、本人の福祉を図るために特に必要があると認める場合に、成年後見等(保佐、補助含む。以下同じ)の申立権を与えています。
 しかし、従来、制度の趣旨や申立のノウハウが十分周知されていない、申立に必要とされる書類が大量かつ複雑である、申立権がある親族の意向調査に手間取る等の事情があって、必ずしも、市町村長による申立は、活発ではありませんでした。
 そこで、市町村において、積極的に申立を進めていただくため、社会福祉士会と協力して、成年後見の需要のあり方や申立の方法を市町村の担当者向けに解説する本講座を企画しました。
 事前に東海三県の市町村に参加を呼びかけ、またアンケートへの協力を依頼したところ、当日は、108名にものぼる各市町村の担当者の方のご出席をいただきました。
 講座の第1部は、成年後見制度の概要と市町村申立の意義と題して、当会の新信聡弁護士の講義でした。
 成年後見の需要がどんな生活局面にあるのか、親族からの申立が期待できないときは、市町村長申立をなすべきであることなど、市町村申立の意義を強調されました。
 講座の第2部は、小藤あけみ社会福祉士から、ニーズを見落とさないためにと題して行われました。成年後見制度と重なりを持つ福祉サービスに、県の社会福祉協議会が行っている地域福祉権利養護事業というものがあります。同事業は、日常的な金銭管理、重要書類の保管、福祉サービスの利用援助をカバーしていますが、それ以上のサービスとなると、成年後見等によらざるをえないこと、また、そもそも利用者との契約を前提としていることから、契約を締結する能力がない人は使えない建前であることから、成年後見等への切り替えや、成年後見等との役割分担の必要性があることが指摘されました。
 第3部は、市町村長申立をなすための手続きと題して、当会の熊田均弁護士から、市町村において実際に市町村申立の仕組みを動かすための要綱案(日弁連が作ったもの)の解説と、実際に申立を行う上での書類の作り方やノウハウが示されました。
 折良く、市町村申立事務の簡素化に応じて名古屋家裁が作った市町村申立用の新書式ができあがったところで、さっそく紹介されました。
 事前に行ったアンケートからは、役所の組織作り、成年後見人等の確保、市町村長申立に適するケースの選別、親族への意向調査、書類作成などについて、様々な悩みが寄せられていました。ある程度は、こうした悩みに応える内容になったと思います。
 講座の感想は、全般的に好評で、継続的な開催を望む意見が寄せられました。
 また、市町村の間で、横の情報交換が必ずしも十分でないためか、事例の提供を求める声もあり、情報交換の場に対しての需要がありそうでした。
 本講座が起爆剤となって、当地の市町村長申立が活発化すればと願っています。