平成16年5月18日、名古屋弁護士会と愛知県司法書士会の共催で、「ヤミ金融110番」を実施した。
平成16年2月に実施したときは、ヤミ金10件(不正請求は139件)だったのに比べ、今回はヤミ金融だけで50件にのぼった。
最近、ヤミ金融による被害は減ったとも言われているが、この結果をみると、被害が顕在化しにくくなっただけで、依然としてヤミ金融による被害は後を絶たず、深刻な状況であることが分かる。具体的な内容は以下のとおりである。
借受人の内訳は、男性23人、女性16人、不明(聞き取り未了)11人であった。
年齢別にみると、30代4人、40代7人、50代5人、60代5人、70代1人で、圧倒的に中高齢者によるヤミ金融の利用が多い。
ヤミ金融以外の借入は14人が有りと回答し、破産・債務整理の履歴は5人が有る、と答えている。本人以外からの相談などの理由により調査できていない割合が多いことを考えると、圧倒的多数の被害者が多重債務者である。
本人以外の親族への請求も多く寄せられ、夜10時以降の電話や、従兄弟にまで電話をしてくるケースなど、相変わらずの電話による不当な取立が目についた。
なかには、平成15年に義兄がパチンコ代のために借入したヤミ金融へ(義兄は破産)、弟である相談者の夫が600万円返済したケースもあった。近所の自営業者が借りたヤミ金融から、相談者を含む近隣の者6件へ脅迫電話がかかり消防自動車出動の騒ぎになった件もあった。
架空請求では、「株式会社東京債権管理センター」「樽見総合法律事務所」など一件もっともらしい名称が目立った。
「ヤミ金融110番」から1週間後に、全国ヤミ金融対策会議の呼びかけにより、ヤミ金チーム所属の弁護士有志が一斉集団告発を行った。
全国では、32の団体が4290件告発し、名古屋では500件(被害者22。愛知かきつばたの会の350件(被害者5名)を含む)を告発した。
今回告発した内容で目についたのは、1人で20件の借入をしている債務者が数人いたこと、自営業者が39社のシステム金融から借入し手形を回して返済を続けたケース、高額な被害状況が寄せられている。
ヤミ金融の電話番号別の被害件数は、090・080は30件、東京03からは70件、フリーダイヤル仕様は18件あった。
これまで、ヤミ金融被害対策チームは、司法書士会や愛知県、県警などと懇談を続けおり、今後もヤミ金融等の撲滅と被害の救済のために連携していきたい。
なお、ヤミ金の帝王梶山容疑者のスイスの銀行口座にヤミ金融の収益金50億円が捜査当局に押収されているらしい。このままでは還付することになってしまうので、梶山容疑者関連のヤミ金融の被害者を募り、集団損害賠償請求を行うことが検討されている。