子どもの事件をめぐっての活動報告



子どもの権利特別委員会
 副委員長 高 橋 直 紹

1 子どもの権利特別委員会は、約70名という大所帯の委員会ですが、若い会員が多く、とても活気のある委員会であると自画自賛しています。
 ここ数年、委員長は多田元さんですが、この委員会が活気があるのは、単に若い会員が多いというだけではなく、委員長自らが若手の委員たち以上に動き、「多田さんがこんなに動いてるんだから、私たちも頑張らないと……」と思ってしまうことが何よりも大きいと思っています。

2 さて、当委員会は、子どもの権利についての活動を中心としています。学校生活、虐待問題、少年事件などが大きな柱といえます。
 これらの問題については、個々の具体的事件も問題となりますが、少年事件においてはそれぞれの付添人が、虐待問題においてはキャプナ弁護団(子どもの虐待問題に関与する弁護士ネットワーク)の各弁護士(団)が、担当しますので、委員会として個別の具体的事件に関わるということは殆どありません。
 また、当委員会の委員を中心に、毎週土曜日に子どもの人権相談が行われていますが、その具体的な処理については、個々の弁護士が個別に(或いは弁護団を組んで)対応することになります。
当委員会が弁護士会の一委員会であることからしても、このような振り分けは必要かと感じています。
すなわち、個々の事件においては、当然相手方(親であったり、学校があったり、被害者であったりするわけですが)が存在し、いくら子どもの事件だからといって、委員会という立場で一方的に関わることは相応しくないと思われるからです。
 そこで、弁護士会の委員会としては、個別の事件の代理人、付添人、キャプナ弁護団などと連携を取りながら、個別の事件の中で浮かび上がってくる子どもの事件に関する問題点を把握し、調査するという活動を中心に行っています。
例えば、虐待事件に関わっていると、どうしても子どもを児童養護施設などに入所させる場面に関わることが多くありますが、その中で、児童養護施設の実態や問題点が浮かび上がってくることから、委員会として県内の児童養護施設のアンケートや施設の体験宿泊、シンポジウム等を行い、それを報告書として出したりしています。
 また、一昨年秋に起こった児童自立支援施設である愛知学園で少年4人が職員を殺害した事件(いわゆる愛知学園事件)をきっかけに児童自立支援施設とはどのようなものなのか、現在どのような問題を抱え、どのように変わっていかなければならないのかなどを学識者等との懇談を通してまとめたものを報告する予定です。

 また、付添人・子どもの人権相談の担当者のスキルアップのための研修会を企画・実施しています(今年度は、付添人活動に参加する弁護士の層をどれだけ拡大していくのかということが大きな課題といえます)。

3 他にも、教育基本法改正問題、少年法改正問題、児童福祉法・児童虐待防止法の見直し問題など、当委員会として取り組まなければならない問題が山積みなのですが、これらは日弁連の子どもの権利委員会が中心に行っており、単位会のみでどうすることもできないことも多く、また情報量も多いことから、対応し切れていないというのが現実です。
 これらにつき、当委員会の委員のみならず、それ以外の委員にもどうやって情報提供できるかというのが今後の課題といえます。

 課題は山積みですが、楽しく活発に活動していけるといいなぁと思います。