あなたの弁護士費用は「弁護士保険」から
    −弁護士保険の開発と普及を期待して−



日弁連リーガルアクセスセンター
委員長 青 山   學

1.ゆらい−訴訟費用を保険で賄えないか?
 日弁連では、1979年会長諮問以来「訴訟費用保険制度の実現のため」の調査研究をしてきました。その後、紆余曲折はありましたが、この保険を「権利保護保険」と称し、日弁連は損害保険会社との共同研究をすすめ、「法律相談保険」を経て、ついに2000年10月日弁連と損害保険会社3社との協定により、権利保護保険が発足し、訴訟費用を保険金で賄う保険商品の販売が始まりました。

2.権利保護保険制度とそのスキーム
 この制度は、その保険に加入した被保険者が、偶然の事故に遭って、損害賠償請求のために、弁護士の法律相談や事件受任を必要とする場合に、弁護士会が弁護士を紹介し、さらに弁護士費用や訴訟などの手続費用は、保険金で填補されるというものです。
 言い換えれば、「弁護士紹介付きの弁護士費用保険」です。
 この制度の運用のため、日弁連と各単位会にリーガルアクセスセンター(LAC)が設置され、日弁連LACは、弁護士紹介窓口となる単位会LACとの連絡調整などを担っております。
 被保険者の弁護士紹介依頼は、損害保険会社から日弁連LACを介して各単位会LACに伝えられ、そこで事案に適した弁護士が紹介されることになっています。この弁護士紹介、受任と保険金の支払スキームは、フロー図のとおりです。

3.「権利保護保険」から「弁護士保険」へ
 この保険は、司法制度改革審議会の意見書でも、「訴訟費用保険」として、その開発と普及が期待されているのですが、現実は、市民だけでなく、制度を担う弁護士の多くも「権利保護保険って何?」という状況です。
 そこで、まずは名称をもっとわかりやすくするべきと考え「権利保護保険」を、弁護士費用が保険で填補される制度として端的に現す「弁護士保険」としました。
 日弁連LACでは、この「弁護士保険」の名のもと、この制度を紹介するリーフレットを作成・配布しているほか、全国規模で弁護士保険制度の啓蒙と普及の活動を展開をしております。昨年8月には関東ブロック、10月には東北ブロックにおいて、各研修セミナーを開催し、今回3月25日名古屋で中部ブロックの研修セミナーを開催したものです(竹内景子会員の報告を参照ください)。

4.医療保険に匹敵する弁護士保険となるか
 この制度の元来の趣旨は、司法を身近なものにする、弁護士のアクセスを拡充することにあります。すなわち、弁護士の紹介と弁護士費用の負担軽減という2つの機能を併せ持つこの弁護士保険制度が、今後、新たな商品開発がすすみ、医療保険に匹敵するまで発展成長し、弁護士業務に大きく益することを期待しているものです。
 そして将来的には、心身の病は「医療保険」、法律の病は「弁護士保険」となることを夢見ています。。