ロースクール奨学金説明会


NPO法人ロースクール奨学金ちゅうぶ
理事長 那 須 國 宏

 1月14日名弁ホールで、第1期の奨学金説明会を開催しました。200名を超える賛助会員で、過疎地赴任の志を持つロースクール学生を奨学金で応援する全国初の試みです。
 本年度は奨学生の枠が2名であり、ロースクール受験の過密日程の合間に、どれだけ学生が集まってくれるか心配していましたが、当日は57名もの学生たちに加え、NHKの取材陣(翌日ニュースで放映)、当法人の理事なども参加して賑やかな会となりました。
 
1.松本三加弁護士のお話など
 当NPO監事の松本三加弁護士(元紋別ひまわり基金公設事務所長[二弁])に「過疎地での弁護士のやりがい」を語ってもらい、学生はかなり興味深そうに聞き入ってくれました。その後、細井土夫理事(日弁連法律相談センター運営委員会委員)から中部の弁護士過疎地(福井県など)について説明しました。
 
2.参加者の感想から
 当日のアンケート結果(50通以上集まりました)をご紹介しましょう。

「初めてゼロ・ワンを知りました」
1)弁護士ゼロワン地域がこれだけ多いことを初めて知りました。若くパワーのある時期に過疎地で奮闘するのはおもしろいと思います。私も社会的弱者の支えになりたいと思っており、過疎地で司法サービスから疎外されがちな人の役に立てるという点で興味がわきました。2、3年という期間もちょうど良いという気がします。
2)ゼロワン地域での活動に対するイメージががらっと変わりました。

「法曹としての生き方に触れました」
3)法曹の仕事の根本的なものを教えていただいたように思いました。また、人生の中で貴重な経験を得られるだろうということに魅力を感じました。
4)検察官志望なのですが、人のために働くという法曹を目指す者として、とても興味深いお話を聞くことができ、嬉しく思いました。
5)以前より、松本弁護士の活動をTV等で拝見し、関心を持っていたが、本日初めて御本人のお話を直接聞いて、非常に特別な事だという印象のあった過疎地赴任を身近に感じることができた。
6)若い時期(特に弁護士になって5年以内)にゼロワン地域で仕事をすることで、自分のキャリアにどのような影響が出るのか不安でした。同年代の弁護士と比較して出遅れるのではないかと考えていました。しかし松本先生のお話を聞いて、そのような不安が解消しました。
7)以前から弁護士過疎地域への赴任について関心を抱いてきましたが、そのような話をした際、家族を含め多くの人から、事件の有無・運営について心配されることがありました。松本弁護士のお話をうかがって、やはり確実に必要とされているのだということを知り、改めて胸が熱くなりました。

「過疎地でのやりがい」「他人の役に立つ」
8)過疎地域で勤務することのやりがいを感じました。人の役に立ちたいという、私が法曹を目指す大きな目標と再認識することが出来ました。ありがとうございました。
9)自分はまだ大学1年で、弁護士志望なのですが、人や社会に奉仕をしたいと漠然と考えているくらいで、具体的な道筋が見えないでおりました。しかし、松本弁護士のお話を聞き、そんな生き方もあるんだなと非常に参考になりました。話題もとても身近なもので、弁護士像を具体的に思い描く事が出来、参考になりました。
10)弁護士過疎の解決に一身を投じることがどれ程意義深いかについて、改めてリアリティを伴った認識が得られた。具体的にはゼロワン地域の法的サービスがいかに悲惨な状況にあるのか(泣き寝入り等)がわかった。漠然と社会貢献になるのだろうかと考えていたが、弁護士過疎地への赴任が想像以上に大きな貢献となるとわかり、ますますこの進路をめざすことへの意欲が増した。困難な面もきちんと話題に上っていたが、それも参考になった。
11)自分は医者を目指していたので無医村に取り組みたかったので弁護士になって志をつなぎたいと思います。
12)今の司法改革で言われている「人々に身近な司法」を具体的に実現されていると思いました。

「過疎地以外での弁護士のあり方」
13)過疎地と大都市弁護士集中地との差には驚かされたが、市民の為の身近な弁護士というのは、大都市でも中々近い所にいないように感じられるので、不思議なおももちがしました。只、大阪市(この方は大阪から参加)は求めれば得られやすいという所はあるようですが、自分の生活に関りがないので、まだまだ弁護士と地域との密着性が足りないなぁと思いました。
14)私は豊田市に住んでおり、今日の講演にあったように、弁護士数が少ないのを身をもって痛感しております。松本先生のお話を聞き、自分もぜひ過疎地域で仕事をしたいと思うに至りました。

「奨学生になれなかったとしても……」
15)奨学生になれなかったとしても過疎地域で勤務してみたいと思いました。
16)ハンセン病違憲国賠訴訟の支援でお世話になっている先生が、長崎五島の公設事務所に行かれることもあり、本日のお話を伺い、奨学金は無理だと分かっていますが、いただけなくとも将来合格したら、行きたいと考えております。

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 紙幅の関係で全部は紹介できませんが、この感想を読まれて、どのようにお感じになりますか。奨学金説明会でのアンケートという性質上、多少割り引いて考える必要があるのかもしれませんが、学生たちは、私達の訴えたかったところをよく理解してくれているように思います。また、私たち自身が法曹を目指そうとした初心を思い起こさせてくれるような感想が多かったことも、非常に嬉しく思いました。
 
3、今後の手続と課題
 書類選考と面接を経て、今年は2名の奨学生を選びます。また、今後はもっと多数の学生を支援できるように更に賛助会員の募集や地方自治体・企業等への寄付の呼びかけも続ける予定です(すでに、20名近くの企業や一般の方々からの寄付もいただいています)。

 この法人は、会員の会費と寄付金だけで支えられています。
 まだ賛助会員に応募されていない方で興味がある方は、随時受付をしておりますので、NPO法人事務局(052−239−1290)までご一報下されば、資料を差し上げますので宜しくお願い申し上げます。

 今後とも、会員の皆様のご理解と暖かいご協力を切にお願い申し上げる次第です。