第2回日弁連「高齢者・障害者権利擁護の集い」


高齢者・障害者問題特別委員会
 委 員  稲 垣 高 志

〜仙台で開催〜
 1月23日、仙台市内において、日弁連・東北弁連・仙台弁護士会の主催で、「第2回高齢者・障害者権利擁護の集い」が開かれた。
 この催しは、社会福祉の構造改革にあたって制定された諸法律の普及活用のため、関係諸機関との連携をはかり、高齢者・障害者の権利を守っていこうという趣旨のものである。
 会場となった仙台国際センターまでの道には雪が積もっており、後で聞いたところでは、この冬一番の降雪とのことであった。
 開会式の後、厚生労働省社会・援護局総務課長の樋口氏から高齢者・障害者関連の諸施策の現状と今後についてと題して特別報告があり、次いで日弁連委員長の清原弁護士から基調報告として日弁連や各ブロック・単位会の活動報告があった。

〜「集い」のねらい〜
 今回の「集い」の主題は、異業種連携と公益通報であった。
 異業種連携については、権利擁護の実践において関係異業種が連携をはかる必要性と課題、実践例が報告され、討論が行われた。
 公益通報については、福祉の現場での病理現象、現行の是正制度とその実施状況、公益通報の必要性と通報者を保護する制度を充実させるべきことが報告され、討論が行われた。
 最後に、実行委員長の荒弁護士(仙台弁護士会)が、地域の絆の再編成等の課題を示し、討論のとりまとめを行った。
 境目が不分明のまま閉会式に移り、日弁連の高野事務局長の総括・提言の後、次回開催地が名古屋とのことで、当会の中村正典日弁連副委員長から、今回の成果を引き継いでいく旨、力強い宣言があった。

〜バズセッション〜
 討論の運営が一風変わっていたので、(正確に伝えるのが難しいが)紹介する。
 会場内には、最大6名のテーブルが無数にあり、クッキーが置かれていた。
 テーマ2つについて、それぞれ討論の枕として寸劇が行われた後、各テーブルごとで、名札によって指名されたリーダーの運営により、提供された論題について一斉にグループ討論が行われ、グループ討論の内容が会場全体に報告された。合間には、息抜きの体操のようなものもあった。
 グループごとの討論を一斉にやるのを、ハチの羽音に見立てて「バズセッション」と呼ぶそうで、全員が参加でき、異業種連携の疑似体験ができる凝った趣向であった。
 異業種連携という主題は、企画の内容だけでなく運営にも入れ子のように貫徹していた。スタッフには、福祉関係者や学生までが参加しており、目玉であったグループ討論は、宮城福祉オンブズネット「エール」(という異業種混成の権利擁護団体)がプロデュースしたようであった。

〜異業種連携の新しい試み〜
 実行委員長の挨拶から今回の試みを読み解くと、異業種連携を実践するためには、【ご高説拝聴型の意思決定手続きを持つ組織同士の提携・動員】という枠組みでは不十分で、今回の企画運営を通して、こうした構造のもつ権威性を脱構築して、運動論を提示してみせたように思われた。しかも、「エール」という異業種連携の実績が伴うところが立派である。
 全体の参加者は、主催者側途中発表で343名、当会からは、10名ほどが参加した。