日弁連公設事務所・法律相談センター 委員 細 井 土 夫
1、名古屋宣言とひまわり基金
日弁連は、平成8年の総会で「名古屋宣言」を採択し、「平成13年度までに弁護士過疎地域(ゼロワン支部)に法律相談センターを設置すること」を宣言し、平成12年には、日弁連創立50周年を記念し、「ひまわり基金」を設置して、弁護士過疎地の法律相談センターと公設事務所の設置の財政的裏付けを与えました。私ども会員は、毎月1000円を、同基金に拠出しています。これに加えて、平成13年5月の日弁連理事会は、平成14年度中に「全国すべての地裁の本庁支部に法律相談センターを設置し、加えて20ヶ所に公設事務所を設置すること」を承認しました。
2、法律相談センターの設置
法律相談センターについては、単位会の絶大な努力により、本庁の他、ゼロワン地域を含む全国253のほとんどの支部に設置することができました。(中弁連管内には、6つの本庁と、20支部がありますが、富山の高岡支部を除き、その設置を終えました。)
その結果、市民が、全国のどこにいても法律相談センターへ行けば、確実に法律相談を受けられ、そして弁護士に事件を依頼することができるようになりました。法律扶助制度と有機的に連携することにより、より有効な制度として機能するはずです。
3、ひまわり基金公設事務所の構想
日弁連では、上記のとおり法律相談センターの全国展開をほぼ実現しました。しかし、この構想は、過疎地問題に対し60点くらいの答案で、「ぎりぎり合格」という内容です。やはりすべての地域に弁護士事務所があり、地元の弁護士が地域の司法を担い、それ加えて、法律相談センターが存在すべきものです。
日弁連では、現在「弁護士ゼロワン地域をなくす」方針の下、各地裁支部に2つ以上の弁護士事務所が必要であると考え、「ひまわり公設事務所」を早急に設置する構想を提起しています。現在約20ヶ所に出来ていますが、忙しすぎて法律相談や事件受任に応じ切れない事務所もでています。弁護士が定着するまでは、1地域に2つの公設事務所も必要で、その実現のためには、今後更に70ヶ所くらいの設置が必要になります。(これは、今後実現する被疑者公的弁護制度の受け皿としても極めて重要な意味を持ちます。)
4、名古屋弁護士会の役割
上記構想を実現するためには、ひまわり基金をもう少し拡充すること(端的に言えば値上げ)と公設事務所へ派遣する弁護士の養成が重要です。特に、後者については、手を上げていただける弁護士を待っているだけでは、凡そ先に進みません。(小久保豊さんや平良卓也さんには本当に頭が下がります)
中弁連の管内では、当会以外はそれぞれ深刻な弁護士過疎地域を抱えており、とても弁護士を出す余裕はありません。必然的に名古屋弁護士会が期待される訳で、私どもはこれに応えてゆくべきではないでしょうか。
具体的には、多くの事務所が、過疎地派遣弁護士の養成システムである「協力事務所A」に登録すること、当会として都市型公設事務所を設置すること、その中で弁護士の養成をすることが極めて重要です。NPOロースクール奨学金ちゅうぶの運動にも期待します。
政府内では、LSC構想なるものが検討されているようですが、そこで働く弁護士は、やはり我々が供給する必要があります。
名古屋弁護士会は、もっと頑張るべきです。
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