1、「下級裁判所裁判官指名諮問委員会名古屋地域委員会」っていったい何?
何でこんなに長ったらしくて分かりにくい委員会名をつけるのでしょうか。
「裁判官選考諮問委員会中部地域委員会」でいいと思うのですが。(これだって、本当は堅苦しいですよね。)
以下説明いたしましょう。
最高裁判所が、下級裁判所の裁判官を指名するに当たって、裁判所内部の恣意を排除して真に「国民の意思」を反映させるべきとする「司法制度改革審議会意見書」に基づいて、法曹三者以外の委員も入った諮問委員会が設けられ、この機関が十分かつ正確な情報に基づいて適任者の選考ができるように、各高裁ブロックに地域委員会を置いて、そこが、任官(再任も)希望者に関する人事情報の収集・提供などを行うこととなったのです。
我が中部地域の「名古屋地域委員会」の委員構成は、(あて職ではないという説明だったが)名古屋地裁所長、名古屋地検検事正、弁護士(私)、学者、マスコミ役員の5名です。
2、情報をありがとうございました
10月に早速、「名古屋地域委員会」から、弁護士に対しては中部6弁護士会を通じて、再任希望裁判官についての情報提供の依頼をしたところ、73通の情報が寄せられました。(すべて弁護士からで、検察官やその他からの情報はなかった。)
初めてのことで、しかも時間もなく、当時なら争点整理や証拠決定、訴訟指揮、尋問の仕方、和解の進め方、事案の解決の妥当性、当事者の納得などについて言いたいことはいっぱいあったけれど、さて、いつのどの事件だったか、顔は浮かぶけれど裁判官の名前が分からない、過去の記録を引っ張り出してまでの調査は面倒だし、ということで多くの情報が出されずに終わったのではないでしょうか。
そもそも、今動いている事件でさえ、裁判官の顔は浮かんだとしても、名前はと問われると正直言って「はて?」と自信がないというのが実際でしょう。ですから、73通は良く集まったといえるかもしれません。本当にご提供ありがとうございました。
3、もっと具体的な指摘を!
地域委員会では、数字で示す段階評価は参考にはならないということになりました。私自身は、多数集まればそれなりに傾向を示す情報として貴重であると考えますが、何せ数がわずかでは取り上げることができません。
今後は、具体的な詳しい指摘をしていただき、これは「地域委員会」としても事実の確認のための調査(面接も含め)を要するというような人事評価情報をいただければと思います。
4、弁護士(会)は、市民の代弁者として情報提供の義務がある
ずっと先のことは分かりませんが、当分の間、裁判所がこの制度や情報収集についての広報を積極的に市民に対してしていくとは考えられません。
となると、司法を利用する市民の代理人即ち市民の「代弁者」としてしっかりと市民の視点に立った正確な多くの情報を提供すること、さらに市民に見える形で広報する(当事者本人や裁判を見守る市民自身も直接情報を提供することが大切です)ことが、我が名古屋弁護士会そして弁護士一人一人の責務ではないかと思うのです。
是非とも、積極的な豊かな取り組みをお願いしたいと思います。