今年の大会は、第1分科会について活発な議論がなされた。議長が大会午前中になされた前日のシンポジウム報告、特別報告等の承認を求めようとしたところ、参加者から第1分科会のシンポジウム報告が実際に行われた内容と異なるということで承認することについて反対の意見が続出した。第1分科会実行委員長より報告が訂正され、大会午前中になされた報告については参加者から異議が出されたことを議事録にとどめるということとなった。
第1分科会の決議案についても異論が多数出された。決議案は、「犯罪被害者の権利の確立とその総合的支援を求める決議」である。問題となったのは、「犯罪被害者が刑事訴訟手続に参加する諸制度の是非及びあり方について早急に議論を深める」という点にある。これに対し、犯罪被害者を刑事訴訟手続に参加させ訴因提示等をなさしめることは被告人に対する重罰化をもたらしひいてはファシズムへと導くおそれがあるといった反対意見が出された。どうやら犯罪被害者の訴訟参加を是認する方向で議論すること自体について実行委員会においても賛否両論があり、それが決議案のなかに盛り込まれていたために消極論者から反対が相次いだものであると思われる。積極論者からは訴訟参加の是非を議論するということであり、犯罪被害者の訴訟参加への強い期待があることを配慮してもらいたいとの発言もあり、最終的に賛成多数で決議案どおり採択された。その他の決議案について特に異論もなく採択された。