法律相談の場が必要とされている −ホームレス総合相談−

人権擁護委員会 生活保護問題チーム
チーム長 森   弘 典

1 各地における法律相談と連携の動き
 全国調査によれば、全国のホームレスは25,296人で、大阪市(6,603人)、東京都23区(5,927人)に次いで、名古屋市(1,788人)は数が多い状況です。路上生活に至った理由は、「仕事が減った」が35.6%、「倒産・失業」が32.9%です。現在は、いつ誰がホームレスになってもおかしくない情勢です。
 他方、行政の運用では、保護を求めて福祉事務所を訪れた人が追い返されたり、法の保護を切り下げた保護が行われています。しかし、これまで法律家が生活保護に疎かったこともあってこの領域は無法地帯と化していました。東京、大阪、京都などでは、すでにホームレスの方を対象にした法律相談を実施しており、大阪では扶助の特別枠を設けて対応しています。日弁連では、連携して法律相談に取り組んでいく必要性を確認しました。

2 ホームレス総合法律相談実施(9月3日)
 そこで、9月3日午後6時30分〜9時まで、伏見ライフプラザ12階第1研修室で、名古屋で初めてのホームレス総合法律相談を実施しました。全会員に相談員募集を行ったところ、8名もの会員が応募して下さいました。京都からは、内河惠一会員と対談をなさった京都の竹下義樹弁護士も応援に駆けつけて下さいました。また、司法修習生4名、支援者(笹島診療所)5名、学生1名にも参加していただきました。
 受付は、午後6時30分〜8時30分の2時間でしたが、受付の始まる前から来訪された相談者もいらっしゃるなど最初の30分くらいに全相談者が訪れるという状況でした。相談後のフォローが必要になる場合があるという竹下弁護士の示唆を得て、相談員は2名1組、できる限り支援者とのペアという態勢で対応しました。
 相談に入ると、短時間では終わらない相談が多く、時間を掛けた対応の必要性を実感するとともに、相談員の熱意を感じました。

3 相談結果

・相談件数  8件(うち1件は支援者)
・年齢別、相談内容(複数回答)
30歳代 

1名

40歳代 
1名
50歳代 
3名
60歳代 
1名
70歳代 
1名
相談種別 件数
生活保護
2件
破産申立
(うち時効)
6件
3件

(労災給付金着服)
1件

4 法律相談の場が必要とされている!
 場所の選定に問題があったにもかかわらず、8件というのは東京、大阪の例に照らしてもほぼ同数で、多いと評価できます。
 また、なかなか相談できずに待ちわびていて深刻な思いで相談にいらっしゃった方が多いという印象を受けました。
 事案としては、負債整理・破産申立関連の事案が多数でしたが、生活保護の申請の問題が絡むものもあるなど相談後のフォローが必要な事案も多々ありました。
 今後も支援者との連携、協力体制を組んで、法律相談に取り組んでいきたいと思います。次回は青空での相談を実施する予定です。多くの会員の方々のご参加をお待ちしています。