去る7月29日30日の両日、名古屋弁護士会館において、中高生を対象にしたサマースクールが開催されました。
29日は、刑事模擬裁判(中高生が裁判員役になり、弁護士・修習生が演ずる殺人事件の法廷劇を見て、グループに別れて有罪・無罪の評議を行う)、30日は、午前中に法廷傍聴を行い、午後から3つの専門講座(「この目でみたイラク」「甘いわなにご用心」「報道と人権」)に別れて、それぞれ興味のある講座を受講してもらいました。
募集にあたり定員が埋まるのか心配しましたが、新聞にサマースクールの記事が掲載されたこともあり、定員を大幅に上廻る応募があり、急遽定員枠を拡大し、その対応をすることになりました。参加した中高生が熱心に学ぶ姿を見て、中高生を対象とするスクールを是非とも継続して開催したいという気持ちを強く持ちました。
以下、模擬裁判、専門講座担当者の感想です。
刑事模擬裁判編(広報委員 福谷朋子)
クリスマスイブの夜若い女性が殺された。現場に残されていたのはバタフライナイフと「ハーベス」のケーキの箱。現場近くでは背の高いサンタクロースが目撃された。1ヶ月後逮捕されたのは、以前被害者と交際していた被告人。背が高く、ハーベスでアルバイトをし、バタフライナイフ所持で警察から注意を受けたことのある、限りなく灰色の人物であるが、犯行は否認。・・・様々な方々からご意見をいただき十数回にわたる改訂を経て、何とかシナリオを完成させ、5回ほどのリハーサルを経て、本番に臨みました。
当日は、被告人と検察官の息詰まる応酬や、酔っぱらい目撃証人の信用性を著しく減殺させる証言、被告人を擁護するケーキ屋店長役の証人等々、出演者の方々の名演技により、大変白熱した法廷となりました。
午後からは10グループに分かれ、各グループに弁護士がコーディネーターとして付いて有罪無罪の評議を行い、その結果を全体評議で発表してもらいました。シナリオ作成段階では「黒すぎる。全グループが有罪となったらどうするのか」という意見が多数でしたが、9グループが無罪という驚くべき結果となりました。参加した中高生からは「疑わしいけれど、決定的な証拠がない以上無罪とすべき」という意見もあり、日本の将来はまだまだ捨てたものじゃないな、と思えた1日でした。
専門講座編「甘い罠にご用心」(広報委員 杉浦宇子)
いわゆる悪徳商法では、若い人たちがターゲットとなって被害者が続出する場合が少なくありません。被害に会う前に子どものうちから積極的に悪徳商法についての情報を与え、「消費者被害」とか「契約」を身近なものとして考えるということは、将来の被害をなくすために有益なのではないかと考え、サマースクールの講座の一つとして企画しました。
なるべく分かりやすいように、悪徳商法の勧誘場面を中心にしたコントを見てもらった後、子どもたちに質問したり、質問してもらったりしながら、弁護士役の人が解説をしていくという構成で準備をすすめました。
期せずして、申込開始当初、当講座が1番人気であれよと言う間に定員が埋まってしまい、50名まで定員を増やすこととなりました。
今回は「キャッチセールス」「アルバイト詐欺」「マルチ商法」の3本立てコントをやりましたが、担当会員の熱演のおかげで、子どもたちも飽きずに見てくれました。解説者は、原稿よりも更に噛み砕いて解説してくれましたが、マルチ商法あたりは、中学1年生には若干難解であったかもしれません。もっと生徒参加型の講座にする工夫があればよかったと反省しています。