サマースクール参加者の声

 

刑事模擬裁判に参加して

滝中学校1年 荒木香里
 私は、裁判に興味を持っていました。しかし、裁判のことなどは、まったくと言って良いほど知りませんでした。そんな時に、小学校の頃の友達にサマースクールのことを紹介され、一緒に受講しました。私は、その内容の中でも自分たちで有罪・無罪を決める刑事模擬裁判が楽しかったです。模擬裁判を見て、始めは無罪だと感じましたが、他の方と話し合うと意見が変わっていきました。皆の意見はすべてもっともなものでした。私は、ひとつの裁判でも皆の感じ方は違うのだと、驚きました。裁判というものは、人の人生を左右するものだから、大切だという事がわかりました。私もいつか、裁判に出てみたいです、弁護士として。

旭野高校2年 横井志貴
 僕が参加したサマースクールでは、まず模擬裁判を行い、その後担当の弁護士の方が一人ついて、グループに分かれて有罪か無罪かを議論しました。
 その中で思ったことは、人一人の一生を決めてしまう重大性と、どの点に着目して罪の有無を決めるかという考え方の二点です。
 一つ目の重大性については、担当の弁護士の方が、「無実なのに有罪になるとその人の一生をめちゃくちゃにすることになる、また、本当に罪を犯した者が無罪になると真犯人を世の中に戻すことになるので、慎重に考えて答えを出さなければならない」と、おっしゃっていました。それまでは、そういうことについてはあまり深く考えていませんでした。しかし、弁護士の方のお話を伺って、もう一度最初から資料を慎重に吟味して結論を出しました。
 二つ目のどの点に着目して、罪の有無を決めるかという考え方について書きたいと思います。グループ別論議では、有罪か無罪かを最初と最後に一回ずつ聞かれました。僕は最初も最後も無罪にしました。そう考えた理由は、動機に矛盾点があったことで、僕は動機は有罪か無罪かを決めるのにとても重要なことだと思っているからです。また、どちらの証人の証言も曖昧であることから、信憑性は薄いと考えました。被告人はうそをついていますが、それは人間の心理としてありうることで、納得できたから排除しました。結論として、無罪と決めました。グループの中では、他の登場人物が犯人だと考えた人もいて、おもしろかったです。
 今回の経験は法律関係の仕事にますます興味を持たせてくれました。これからたくさんの経験をする中で、真実を見抜く目を養っていきたいと思います。



この目で見たイラク――強者の驕り

旭丘高校2年 竹内由佳
 イラクの大地に劣化ウラン弾が打ち込まれた。汚染された大地は永遠に元に戻らない。
米国の脅威を痛切に感じると共に、今回の戦争に加担した日本の対応を恥じる。
 サダム独裁政権に宥和政策が通用し得たとは思わない。しかし、米軍の武力攻撃はあまりにも多くの悲劇を生み続けている。実際、ガン発生率は飛躍的に増加し、多くの子供達が死を余儀なくされている。戦争を知らない私には、その悲劇さを正確に知覚することはできない。それでも小野先生の講義を聞き現代型戦争の残虐さを知った。その中で、平和を願うことは、人類共通の根源的な感情であるということがあった。実際、私達は目の前で人が無差別大量に殺される現象に耐えられないだろう。しかし、その一方で私達が利己心を持ち続けていることも事実である。ブッシュ大統領の支配欲、征服欲を非難しながらも、私達はそれと同じにおいのするエゴイズムを自らの感情の中に認めざるを得ない。仮に人間にそういった感情がなくなったならば戦争は既に過去の遺物となっていたはずであるからだ。現代の戦争では人を傷つけるという痛みを感じずに、自らの利己心を満足させることができる。ここに危険なものを感じる。強い者は殺戮の場に居合わせない。弱い者は21世紀の軍事力に屈して、ただ死んでいく。私達はこの異常な事態を深刻に受け止めるべきだ。イラクに捨てられた劣化ウランはこれから先、永遠に命を消し続けるのである。



報道と人権

桜台高校3年 塚田雄太
 私は、将来弁護士になりたいと思い、受験勉強に励んでいる高3生です。7月29,30日にサマースクールに参加し、有意義な時間を過ごさせていただきました。特に二日目の専門講座では、「報道と人権」というテーマに参加させていただき、長崎での少年犯罪が起こった直後ということもあり、興味深く、私なりの考えを持ち参加しました。
 講座では、5つのグループに分かれて、配布された参考資料を元に話し合いました。
 人権を擁護すべきだという側からは、「まだ、容疑者は未成年でもあり、これから先の人生もまだ長い。ここで、実名や顔写真などをマスメディアが報道すると、容疑者の将来に悪影響を及ぼす。」
 また、反対という側からは、
「たとえ未成年といえども犯罪を犯したのなら、成人と同様に報道すべきだ。」
という意見が出されました。
その後、2人の弁護士の方の討論を聞かせていただき、とても興味深いものでした。
 私の考えとしては、
「未成年といえどもその罪の重さや、犯罪のもつ特異性によっては実名報道するべきである」
と今も思っています。
 最後にこの様な機会を与えてくださった名古屋弁護士会の皆様に感謝すると共に、司法業務を希望する中高生に来年もこのような機会を設けていただけることを望みます。



甘い罠にご用心

向陽高校3年 中村将也
 僕は主に民法や商法など、生活にもっとも密着したものを学びたいと思っていたので、「甘い罠にご用心」を選択しました。
講義の内容は、悪徳商法はどんな手口で僕達に忍び寄ってくるのか、被害にあったらどう対応したらいいかなどを、弁護士の方々が実演して、その後に弁護士の方が解説をするというものでした。講義は、劇がわかりやすいものだったため、とてもよかったと思います。ただ、何もやらずにいきなり実演というものだったので、僕としては実演よりも前に、商法について、売買契約に基づく物の売り買いの基本ルールみたいなものをやっていただけると、普通の商売と悪徳商法の差が明確になり、何が悪徳なのかと言う事などもわかりやすくなるのではないかと思いました。
講義を受けて、悪徳商法の巧みさ、自分の中途半端な知識など、色んなことがわかりました。特に自分の中途半端な知識というものは、今気付かなければ危なかったと思います。これから僕は社会に出て行くわけですが、新社会人は悪徳商法に狙われやすいというのを聞いた事があります。もしも自分の中途半端な知識で悪徳商法に遭遇していたら、大損害を被っていたかもしれません。この日に悪徳商法について意識を深めたので、しばらくはひっかからないでしょう。しかし、一番怖いのは、将来忘れた頃にやってくる甘い罠です。僕は将来的にこの罠にかからないようにするために、しっかりと勉強しようと思います。