反射鏡 〜司法記者室 H15.6
    


「反射鏡―司法記者室」 ……名古屋を中心に活躍されている新聞・テレビ各社の司法記者の方々に、取材活動を通じて感じたことなどを寄稿していただくコーナーです。

 ヨルダンのあの事件。法廷での五味被告の様子がテレビで映し出されて、ドキッとしました。
 え、いいんだ、この国は。

 ある意味、うらやましい部分はあります。テレビであの裁判の様子を流せれば……。怒り。涙。笑い(まれですが)。伝えたいのに伝えきれないことがたくさんあります。

 例えば、名古屋刑務所事件の保護房内ビデオ。テレビで流したら凄まじい反響でしょう。廷内の様子はしゃべりで伝えろ、なんて我々テレビの記者は言われたりするんですが、あの映像と音声は、筆舌に尽くし難く・・・結局、指をくわえて見ているしかありません。最新のCG技術で再現すればいいじゃない、なんて声も聞こえてきますが、あのリアルさを伝えるのにCGはちょっと。(予算的にも無理です、ハイ)

 ついでにこれもぜひ。強盗致死罪に問われているブラジル人被告が、初公判にセリエA・ユベントスのスター選手、デルピエロのユニフォームを着て現れ、ポルトガル語で「間違いありません」と言ったのを見たら、視聴者はきっと何かを感じるはずです。私は驚きましたから。

 日本でも、廷内の被告を撮影できた時代があったことは最近知りました。40年前の名張毒ぶどう酒事件の資料映像を見ると、被告の後ろに満員の傍聴席が。

 やっぱりだめですかね、撮影。

(CBCテレビ報道部 古川修)