中部経済新聞2011年12月掲載
【ちょっとお得】
破産の手続き・注意点(法人の破産)

 【質問】 会社の資金繰りに行き詰まり、破産も検討しています。破産の手続きや、破産を選択した際に注意すべき点を教えてください。

【回答】 破産とは、債務者の財産を処分して金銭に換え、その金銭を債権者の配当する手続です。今月は、会社など法人の破産について簡単にご説明します。
 売掛金が回収できない、事故や天災により大きな損失が生じたなどの理由から債務の支払いが滞り、各債権者との話し合いで解決することも難しいという場合には、破産を申し立て、会社を清算することも選択肢の一つとなります。
 破産の申立ては裁判所に申立書を提出することにより行います。申立ては、破産者本人がすることもできますが、様々な書類、資料を揃えるなどの準備が必要となりますので、弁護士にご相談されることをお勧めします。なお、破産を申し立てるにあたり親密な取引先など一部の債権者だけに支払いをすることには注意が必要です。こうした支払いがなされた場合、後述の破産管財人が支払いの効力を否定し、当該債権者に既払金の返還を求めることがあります。その結果、破産手続きが長引くばかりか、かえってその債権者に迷惑をかけることにもなります。

 破産を申し立てる際には、裁判所に手続費用を予納する必要があります。予納する金額は負債総額などによって異なりますが、例えば負債総額が1億円以下の法人について名古屋地方裁判所で破産を申し立てた場合、通常であれば60万円程度とされています。
 申立書の記載内容などから破産手続を開始するための要件があると裁判所が判断した場合には、裁判所により破産手続の開始決定が出され、破産管財人が選任されます。破産管財人は、破産者の資産(破産財団)を調査・管理し、不当な行為は是正し、換金できるものは換金した上で、破産財団から債権者に配当をします。

 配当は、法律の規定にしたがい、公平に行われます。ただし、通常は負債総額に比べて破産財団が少ないので、滞納した税金など法律上優先されている債権への配当で破産財団が尽きてしまい、他の普通の債権者は配当を受けられないという場合も少なくありません。
配当が終わり、裁判所による破産手続終結の決定がなされると、破産手続は終了です。