中部経済新聞2011年5月掲載
【ちょっとお得】
離婚での養育費請求

 【質問】 夫との離婚を考えており,子供を連れて別居しているのですが,婚姻費用が請求できることは前回のお話で分かりました。今回は離婚後の養育費について教えていただけますか。

【回答】 はい,分かりました。養育費は,子どもが健やかに成長するために必要な費用です。父母は,子どもの生活について,自分自身の生活と同じ水準を保障する義務を負っています。そのため,離婚後も,子供は父や母に対して,養育費を請求できます。
養育費の額は、父母の話合いにより決まればよいのですが,話合いで決まらない場合には,家庭裁判所に調停を申し立てて協議をします。調停でも協議がまとまらない場合には審判を申し立てることができます。
養育費の額は、子どもの必要となる生活費,父母の収入と支出,その他諸般の事情を考慮して決定されます。なお、養育費が決定されても,その後の事情変更により養育費の増額や減額の請求ができる場合があります。
調停や審判により養育費が決定したにもかかわらず養育費を支払ってくれない場合には、支払いをするように、家庭裁判所から勧告してもらう制度(履行勧告)や命令してもらう制度(履行命令)があります。また、調停調書や審判書により強制執行(相手方の財産を差押えすること)をすることもできます。
なお、父母の話合いにより養育費の額が決まった場合,強制執行を認めるという強制執行認諾文言つきの公正証書を作っておくと,養育費を払ってもらえないときに,裁判をすることなく,強制執行をすることができます。
以上