中部経済新聞2011年3月掲載
【ちょっとお得】
離婚に伴う婚姻費用の請求について

 【質問】 夫との離婚を考えており、子供を連れて別居しているのですが、婚姻費用や養育費を請求できますか。

【回答】 別居していても、離婚するまでは夫婦であるため、妻子の衣食住に必要な生活費などは夫婦で分担することになります。このような婚姻生活を維持するために必要な費用のことを婚姻費用と言います。
  夫婦間の話合いにより婚姻費用の分担額が決まらず、婚姻費用を支払ってもらえないような場合には、相手方の住所地の家庭裁判所に婚姻費用の支払いを求めて調停を申し立てることができます。調停が不成立となった場合には、当然に審判手続に移行し、審判で婚姻費用の分担額が決定されることになります。
婚姻費用の具体的な分担額については、夫婦それぞれの資産や収入、子どもの数や年齢、その他一切の事情を考慮して算定されることになっています。
  なお、婚姻費用は、実務上、申立時にさかのぼって支払いを命じることができるとされています。
調停や審判で婚姻費用の分担額が決定した場合には、確定判決と同一の効力が認められますので、相手方が任意に支払わない場合には、給料の差押えといった強制執行を申立てることができます。
  このように、別居中であっても、離婚が成立するまでは、夫に対し、婚姻費用を請求することができます。
なお、離婚後は、婚姻費用の請求をすることはできなくなりますが、親である限り、子どもに対して扶養義務を負っているため、子どもは、離婚した夫(父親)に対して、養育費の支払いを請求することができます。
養育費については、次回お話します。