今年もまた、忘年会シーズンが近づいてきました。幹事の方は、会場の設定や出欠確認など準備を始めておられる頃だと思います。
ただ、忘年会で起こりがちなトラブルといえば、セクハラ(セクシュアル・ハラスメント)! お酒の席ではどうしても気が緩んでしまうのでしょうか。
そこで、今月は、セクハラのトラブルを起こすことなく、忘年会を乗り切るためのノウハウをご紹介します。
○セクハラとは? | |
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まず,セクハラを理解するために、定義を教えてください。 |
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簡単にいうと、職場において相手方が不快だと感じる性的な言動や労働環境を言います。例えば、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、性的な関係を強要すること、必要なく身体に接触することなどです。 |
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忘年会での出来事もセクハラになるのですか。 |
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なり得ます。セクハラの起る時間や場所という点では、必ずしも会社内や就業時間内に限りません。アフターファイブに社外の飲食店で行われる忘年会であっても実質上職務の延長と考えられる場合にはセクハラになり得ます。同様に、取引先や出張先、移動中、ゴルフコンペなどのレクリエーションもなり得ます。むしろ、社外の方が気が緩んでセクハラが起りやすいので、ご注意下さい。 |
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当社の忘年会では、部長と女性社員がカラオケでデュエットをする慣行があるのですが、それもセクハラになりますか。 女性社員も楽しそうにしているのですが・・・。 |
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確かに、難しいですね。でも、日本には職場の人間関係を考えるとノーと言えないという風土があります。そのため、女性社員は内心不快に思っていても、立場上、不快であるということを口にすることができずに我慢しているかもしれませんので、慎重に対応することが必要です。 ただ、平均的・一般的な女性が不快に感じるであろう事柄は、大凡、想定できると思いますので、女性の立場を思いやって考えてみてください。 |
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セクハラの被害者は女性だけですか。 |
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いいえ、男性も被害者になり得ます。ただ、実際には男性から女性へのセクハラが起りやすいのも事実です。 |
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では、被害者は正社員だけですか。 |
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いいえ、正社員とは限りません。アルバイト、パート、契約社員、派遣社員など、広く職場で働いている人は被害者になり得ます。 |
○会社の対策 | |
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では、セクハラを防止するためには、どうしたらよいでしょうか。 |
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雇用機会均等法は、使用者である会社に対して、セクハラについて「相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備などその他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」と規定しています。具体的に会社が講ずべき措置のポイントは次の通りです。
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(1)の方針を明確にするためにはどのような方法がありますか。 |
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まずは、就業規則などの服務規律にセクハラ禁止を規定することです。それから、社内報や社内ホームページ、朝礼等を利用して、従業員に注意を喚起しておくことも大切です。まだ会社にそうした規定がなければ、忘年会までに、何らかの方法で、セクハラが起ってはならないことを社員に伝える事が必要です。先程のカラオケのように忘年会で見直したほうが良さそうな事態が予測出来る場合には、事前に当事者に注意を促しておくほか、そういう事態が起らないように司会進行に細心の注意を図ることが大切でしょう。 |
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セクハラの相談を受けるときの注意点を教えて下さい。 |
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まずは迅速に対応することが必要です。放置しておくと被害が拡大する恐れがありますので、初期段階で対応することが大切です。また、相談を受けるときには、安易に、加害者とされた人を擁護したり被害を訴える人を非難したりする発言をすることも控えましょう。また、相談方法としては面談だけでなくメールや電話などの方法も検討して、相談しやすい柔軟な体制にして下さい。判断や対応に苦慮する場合には、弁護士をはじめとする社外の専門家に相談することをお奨めします。 |
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セクハラが認められた場合はどのように対処すればよいですか。 |
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行為者については就業規則等に基づき懲戒等の措置を取ることになります。併せて、配置転換などにより被害者が職場で働きやすいような環境を整えてあげることなど、被害者への対応も必要になります。 |
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セクハラで会社が訴えられることもありますか。 |
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会社は、行為者とともに民事上の損害賠償責任を負うことがあります。そのような事態にならないようにするためにも、セクハラを防止することが大切ですから、早速、具体的な措置を講ずるようにして下さい。 |