こちら弁護士会

DVD「証言台を囲む人々〜ドラマで学ぶ刑事裁判〜」
〜社員研修などにもご利用頂けます。〜



  「法教育」。こう聞いて,分厚い六法全書や難しい法律が思い浮かんで,どちらかというと「面白くなさそうだな」と思われたかもしれません。

 ところで,弁護士の目から見ると,毎日の新聞やテレビを通じて報道されている情報について,法の世界と無関係なものはほとんどないといえるのではないかと感じています。本当はそのように身近な法の世界なのに,これまでの学校教育では不思議と「教えられることの少ない分野」だったと思います。

 しかし,司法を市民の身近なものにするために司法改革が進められました。それにより,毎年たくさんの弁護士が生まれ,弁護士がテレビでCМまでするようになり,裁判員制度が導入され,市民の法的救済窓口である「法テラス」が設立されたりと,法の世界もずいぶんと様変わりしてきました。それらの多くの試みは,これまで市民に遠い世界だった法の世界を身近なものにすることを目的としています。
 それらの試みのうちの一つが「法教育」です。これは「市民が法や司法制度の基礎となっている価値を理解し,法的なものの見方や考え方を身につけるための教育」といえます。

  愛知県弁護士会では平成15年度に法教育特別委員会を立ち上げ,主に県内の小・中・高校に無償で弁護士を派遣し,授業のサポートをさせていただいています(講師派遣事業)。生徒と一緒にディベートをやったり,生徒にいろいろな地域住民の立場から共存するためのルール作りの方法を体験してもらう授業などを行っています。
  その中でも,最近力を入れているのが「体験型模擬裁判」です。
  刑事事件の短いシナリオをもとに,生徒たちに教室内で刑事裁判を実地で体験してもらおうというものです。裁判官,裁判員,検察官,弁護人,被告人,証人。すべて生徒が演じることとなっています。最初の20分で裁判を演じ,次の20分で裁判員役の生徒が評議を行い,授業の最後に評議結果を発表し,弁護士がコメントを加える,という流れです。生徒たちはシナリオをほとんど棒読みですが,「これまでに経験したことのない職業」を「役者のように演じる」ということで,毎回,授業が興奮に包まれた高いテンションのまま,あっという間に終わってしまいます。

 しかも最近,学習指導要領が改訂となり,中学社会科「公民的分野」では「現代の社会的事象に対する関心を高め,様々な資料を適切に収集・選択して多面的・多角的に考察し,事実を正確にとらえ,公正に判断するとともに適切に表現する能力と態度を育てる」ことが目標とされています。教室内で演じられる模擬裁判を見て事実を収集し,裁判員になったつもりで評議する際に,相手の意見に耳を傾けつつ,自らの意見を発表し,合意を形成していくという作業は,まさしくこの目標に沿うものといえましょう。高等学校学習指導要領の「現代社会」でも,「裁判員制度についても取り扱うこと」とされており,そういった点でも,体験型模擬裁判は,新しい学習指導要領の目指すものと大きく一致するものといえます。

 さらに法教育特別委員会としては,学校の教員により法教育に関心をもっていただき,授業に活用してもらうために,体験型模擬裁判用DVDを制作しました。DVD「証言台を囲む人々〜ドラマで学ぶ刑事裁判〜」は,殺人の疑いをかけられている被告人の刑事裁判手続を,弁護人,検察官,裁判員の3つの立場からスポットを当てながらストーリー仕立てに紹介しています。弁護人,検察官,裁判員の3つの立場の者が,何を考え,どんな悩みや使命感をもって刑事裁判に携わっているのかを,平易に理解しやすいように,ドラマに盛り込んであります。このようなドラマを中心にした「ドラマ編」(約26分)とともに,刑事裁判手続の説明をした「裁判手続紹介編」(約17分)も同時に収録してあります。

 弁護士会としては,学校において,まずこのDVDを生徒たちに観てもらい,生徒たちの「成りきり」度合を高めてもらい,次の体験型模擬裁判授業につなげていただくことを想定して制作しております。そのためドラマでの裁判の判決内容は,DVDの中では触れられていません  このような社会科教材としてのDVDですが,市民の方でも,弁護士会の法教育活動を知っていただいたり,市民同士の学習会などで利用いただくために,送料込の実費500円にて配布します。 会社や業界団体での研修などにもご利用下さい。

お問い合わせは愛知県弁護士会人権・法制係(電話052−203−4410)まで。