言わせてチョ

ローマの休日?




オードリー・ヘップバーン扮する王女とグレゴリー・ペック扮する記者とのたった一日の恋の話を描いた名作映画、「ローマの休日」。私の大好きな映画である。先日、あの大臣のローマでの失態を見て、このタイトルを思い出した。

  折しも世界が直面している経済危機から脱却するために先進国の英知を集めるべく開催されたG7。いつも以上に世界の注目が集まり、成果を求められた会議であった。大臣もそのような重要な会議であることは百も承知であったであろう。だからこそ、体調不良を押し、大量の薬を服用した上、約4100万円もかけてジェット機をチャーターしてまで出かけたはずである。

 ところがあの始末である。記者会見での様子は言うまでもない。その後のバチカンでの醜態に至っては笑うしかないであろう。会議での様子も推して知るべしというところか。ローマで休日をすごされたのかと思ってしまう。

 ところで、大臣には秘書もいれば財務省の役人も随行していた。彼らは、薬や時差、飲酒による影響を注意しなかったのであろうか。もちろん、周囲の人間は、大臣が薬などによってあれほどもうろうとした状態になるとは思いもしなかったのかもしれないし、大臣が注意に耳を傾けなかったのかもしれない。しかし、少なくとも記者会見に臨む際の大臣が正常な判断や行動が出来る状態でないことぐらい、傍目で見ていてわかるはずである。それならば、正常な判断のできる周囲の人間の責任で、記者会見やバチカン観光を強引にでもキャンセルするか時間をずらすぐらいの工夫をすべきであったと思う。

 昼食時にワインを共にしたとされる役人や記者もいる。大臣の体調やそれまでの酒癖を知っての上のことならば、大臣に醜態をさらさせて辞職に追い込みたかったのではとさえ勘ぐってしまう。

 道路交通法は、酒気帯び運転者だけでなく、一定の場合に、同乗者や酒を提供した者、車輌を提供した者についても罰則を科している。取返しのつかない事態を招くことのないよう、周囲の人間にも責任を課したものである。大臣を酒気帯び運転者にたとえるならば、周囲の人間は飲酒提供者あるいは車輌提供者というべきか。いずれにしろ、国政のハンドルさばきを任された方々の緊張感の無さには呆れるばかりである。

 百年に一度と言われる大不況。資金繰りに苦しむ経営者や解雇の影に怯える労働者の姿が政治家やお役人には見えていないようだ。