携帯電話の悪用から我が子を守る 〜学校裏サイトの危険性

中学生の子を持つ父親が仕事帰りに話し合っています。

 最近、うちの子が元気ないんだよなぁ。

 年齢的に父親を避ける世代になったからじゃないの。

 それならいいんだが、奥さんに聞いても元気ないようなことを言ってるし。

 そりゃ心配だ。何か思い当たることはないのかい?

 この春、進級祝いで初めて携帯電話を買ってやったんだ。最初は喜々として使っていたんだが、最近携帯を遠ざけているような気がして・・。

 う〜ん。それは携帯サイトでイジメに遭っているかもしれないなぁ。

 なんだい、それは?

 実はうちも去年のクリスマスに携帯を買い与えたんだ。ただ、携帯の出会い系サイトなんかで事件が起きることがあるじゃないか。気にしていたら興味深い本に出会ってね。

 何だい?

 「『学校裏サイト』からわが子を守る!」っていう中経出版から出ている文庫本なんだ。今からの話はこの本に書いてある具体例だが、たとえば「差保2」とか「WU吉」とかって意味分かるかい?

 何だ、そりゃ?

 差保2はサポート2枚、WU吉もダブルの(福沢)諭吉さんという意味で、どちらも援助交際費二万円を意味するらしい。

 恐ろしい隠語だな。

 うん。それで読み進むと子を持つ親にとって怖い話がいっぱい書いてあったんだ。

 たとえば?

 友達からメールが届くだろ。五分以内に返信しないとその友達を無視したと理解されてしまうそうなんだ。あと絵文字を使えないこともマイナス評価になる。その結果、それだけのことでイジメの標的にされることがあるそうだ。

 食事もすれば、風呂にも入るから、常に五分以内は無理だろう。

 僕もそう思うけどね。あと、なりすましメールといって、詳しい方法はよく分からないが、なりすましたい人のアドレスからメールを送ることもできるそうだ。

 何で他人になりすますのかな。

 たとえば、特定の生徒のことが嫌いだとするだろ、クラス全員のアドレスを使って彼らになりすまして、「きもい」「学校へ来るな」などとメールを送ったらどうなる?

 そりゃ受け取った生徒はクラスの皆から嫌われていると勘違いするよなぁ。下手すると登校拒否になるよ。

 そうだろ。他にも「お前は一週間以内に死ぬ」などの脅迫メールを送ったりする生徒もいるらしい。

 ひどい話だねぇ。

 それだけじゃない。サブアドレスといって一つの携帯で複数のアドレスを持つことができて、このサブアドレスを使って同じようなことをする生徒もいる。さらに、携帯電話についているカメラ機能を悪用してトイレで用を足している写真を撮って、クラスメートに一斉送信したケースもあるようだ。

 ヒェーッ!怖くて携帯を持たせられないじゃないか。法律で規制できないのかね。

 国家権力による検閲になりかねず難しいらしい。昔の不幸の手紙のようなチェーンメールと呼ばれるメールも送信されてくる状態なのにねぇ。

 携帯電話の悪用がそんな状態だとは知らなかった。うちの子も何かにひっかかってしまったんだろうか。

 うん、その可能性はあると思うよ。
 だから、親が携帯電話の迷惑メールを受信拒否するよう機能設定したり、サブアドレスに関する知識を持って不審なメールが来たらサブアドレスから送信されたものかどうかをチェックしたりしないといけないと思うんだ。

 うーん、親も大変だなぁ。でも、そもそも何でうちの子のメールアドレスが第三者に知られてしまうんだろう?

 よく言われているのは名簿業者だよね。ただ、それだけでなく、子ども自身が気づかないうちにメールアドレスを他人に知らせていることもあるようだ。

 そんなことがあるのかい?

 たとえば、今プロフィールサイト(略して「プロフ」)がはやっている。名前や性別、血液型、居住地、趣味、特技、あだ名などを自己紹介するサイトらしい。

 それは小学生の時に紙に記入していた自己紹介の携帯版ということかな。

 そうだね。無料で全国の人に自己紹介できるということで、女子生徒を中心に結構人気のようだ。

 それで何が問題なんだ?

 無料ってことは誰かが運営費を出してるってことだろう。風俗関係者が多くて、広告が出ているんだ。さらに、業者によっては、他人が勝手にプロフを立ち上げてしまうことも可能だ。メールアドレスも紹介した「援助交際OK」なんてプロフを勝手に立ち上げられたらどうなる?

 嫌らしいメールが届くだろうな。

 そうだ。でも、対策もあるようだから、一度、親に真剣に勉強してもらいたい。自分の子を守るために。

 わかった。頑張るよ。ありがとう。