【法律事務所の窓辺から】 弁護士のある1日
 

午前6時45分起床。「めざましテレビ」を見ながら、朝食の準備をする。朝から料理をするのはしんどいが、自宅でまともに食べることができるのは朝食ぐらいだから、頑張る。テレビの星占いでがっくりしながら朝食をとり、家を出る。

 午前9時15分出勤。訟廷日誌(ショウテイニッシ)で、今日の予定を確認。この日誌は、法廷で弁護士が裁判の日程を決める時にぺらぺらとめくっている小さな手帳である。裁判はもちろん、打ち合せの日程などが全て記載されているため、弁護士にとってバッチの次に大切なものと言っても過言ではない。それから何本か電話をかけつつ、溜まっているFAXやメールをチェック。

 午前10時、民事裁判のため、名古屋地裁に出頭。弁論を終えてから、すぐに名古屋家裁での離婚調停に出る。話がなかなか進まないため、依頼者と共にため息をつく。

 事務所に戻り、顧問会社から相談を受ける。ネットで自社製品の模造品が売られているので、何とかならないかとのこと。最近、ネット絡みの紛争が目に付く。これも時代の流れか。

 昼過ぎ、買ってきたサンドイッチを頬張りながら、どうしても今日中にチェックして欲しいと依頼を受けた契約書のチェックをする。

午後2時、また名古屋地裁に出廷。相手方弁護士が遠方の弁護士のため、電話会議による準備手続。遠方の弁護士は事務所に待機して電話で裁判に臨む。この事件では、相手方の前任の弁護士が突然辞任したため、今回から新しい弁護士が担当することになったのだが、新しい弁護士は、それまで進んできた和解の話を取りやめたいと言う。相手方から和解を申し出てきたにもかかわらず、である。何か事情があるにしろ、これまで積み上げてきたことは何だったのかと思うと、怒れてきた(血圧上昇)。裁判官も、ムッとしていた。でも、和解は相手がうんと言わなければ成立しないことなので、やむなく訴訟手続を続行することに。早期解決を望んでいた依頼者のがっかりする顔が浮かぶ。

その足で弁護士会の委員会に出席してから、最近お世話になっている整体に行く。なんと言っても身体が資本だから、メンテナンスは欠かせない。

夕方、遺産分割の相談。来週、分割の対象となる土地建物を見に行くことにする。何事も現場主義。

それから、裁判所に提出する準備書面を書く。電話の鳴らない時間帯は集中できる。午後9時をまわった頃、空っぽの冷蔵庫を思い出し、閉店間際のスーパーに駆け込む。螢の光が流れる中で何とか買い物を済ませ、帰宅。洗濯機を回しながら、簡単な夕食を取る。テレビでは、ボクサーがルール違反をしたとかしないとか、騒いでいた。昼間のことを思い出し、裁判のやり方にもルールがあるんじゃないのーってぼやきながら、就寝。明日の星占いは1位でありますように。