人権賞推薦のお願い

 




愛知県弁護士会では、平成元年から「愛知県弁護士会(当時は名古屋弁護士会)人権賞」を設けて、陰ながら、世のため人のために、愛知県をその拠点として、優れた「人権」活動をしている団体や個人の方を表彰し、その活動を広く社会の人に知ってもらい、応援してきております。

ところで、皆さん、「人権」という言葉から、何をイメージしますか。何やら、難しそうで、自分には関係がないといって敬遠されそうですが、「人間が、独立した人格として、人間らしく社会生活を送っていくうえで、尊重されなければならないこと」というような意味合いのものです。空気のようなもので、気がつかないだけで、本当は身近にあって、大切なものなのです。

たとえば、子ども達が、分け隔てなく、無償で、小学校、中学校の教育を受けられるというのも、当たり前のように思われますが、世界各国に目を転じれば、それほど当たり前でないことはおわかりになると思います。これは、憲法上認められた教育を受ける権利の現れです。

また、自営業者の方が、自由に商売ができるのも、憲法上保障された、営業の自由(権利)の賜で、これが、合理的な理由もなく、規制されるとすれば、営業の自由という人権の侵害となります。

このように、普段当たり前と思われている社会生活上の事柄は、幾重もの人権で守られているもので、長い歴史の中で、先人の労苦や命を代償として、生まれてきたものです。

弁護士の使命は、こうした「基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること」である、と法律で定められております。

弁護士会としては、人権擁護活動の一環として、見返りや名声を求めることなく、地道で献身的な活動をされている方々に、スポットを当て、その活動を讃え、広く市民の中に人権擁護の輪を広げるために、この賞を設けたものです。

おかげ様で、この18年間、毎年、その時期にふさわしい人権活動をされている方々を表彰してくることができました。

過去にどのような方が受賞されたか、一部ではありますが、ご紹介したいと思います。



平成七年には、留学先の米国ルイジアナ州で長男が射殺されたのをきっかけに、服部さん夫妻が始めた「銃の撤去を求める請願署名」活動を支援するため、発足した市民グループである「YOSHIの会」が受賞しています。この市民グループは、一年間に一七〇万人署名を集め、当時のアメリカ大統領クリントン氏に提出し、その後、銃規制を盛り込んだブレイディ法が成立しています。銃が絡んだ犯罪が、アメリカは勿論、日本でも広がる中、この活動の今日的意義は、残念なことですが、ますます高まっているといえるでしょう。


平成11年には、「子どもの虐待防止ネットワーク、あいちCAPNA」という団体が受賞しています。連日のように、子どもに対する虐待のニュースが報道されておりますが、こうした児童虐待の防止のために、医療、福祉、法律の各専門家が手を携えて、被虐待児の救済や支援、電話相談や啓蒙活動を行っている団体で、その活動ぶりは、新聞にもよく報道されますので、皆さんもご存じかもしれません。


平成17年には、「セーブアフガンチルドレンの会」が受賞をしています。アフガン攻撃をきっかけにアフガニスタンの戦災孤児の援助を目的として、夫とともに滞日していたアフガニスタン女性が、名古屋を拠点に会を設立し、将来のアフガニスタンを担う女子孤児を自前の施設で預かり、その生活と教育を支援する活動を行っています。


また、昨年度は、「東海『非行』と向き合う親たちの会」が受賞しています。非行に走った子どもの親が周囲からも孤立しがちな中、お互いの悩みを受け止め支えあう組織が必要という思いから発足し、講演会や例会での活動を通じて、親も、子どもも、ともに「非行」をきっかけに成長する権利を保障しようという活動が評価されたものです。


そのほか、障害者の自立や生活保障にかかわる分野、健康保険のない外国人やホームレスの人々に対する無料診察を長年続けてきた医師、診療所等様々な分野での活動を表彰しています。

人権賞の推薦は通年で受け付けておりますが、毎年八月末日でその年の募集を締切ります。推薦のあった方について弁護士会で調査をし、弁護士と市民から構成される選考会で授賞者を選考し、毎年一二月ごろ、弁護士会館で表彰し、副賞と賞金二〇万円を贈呈しております(申し訳ありませんが、推薦者の方には、賞金等はなく、推薦の栄誉だけとなります。)。また、新聞各紙が、毎年の人権賞の受賞を記事として取り上げ、人権賞の受賞者の方々からはその反響から、運動の場が広がった、はずみがついた、また、当局との交渉もしやすくなった等々とのお言葉もいただいております。

人権賞の推薦方法や、過去にどのような方が受賞されているかについては、愛知県弁護士会のホームページにアクセスしていただき、「弁護士会からのお知らせ」をクリックして、ご覧になって下さい。また、弁護士会に、直接ご連絡をいただいても結構です(人権・法制係、電話052-203-4410)。皆様の身近にふさわしい方や団体がありましたら、是非推薦をお願いします。