委員会だより

犯罪被害者支援特別委員会だより


一 犯罪被害者の立場

犯罪被害者は、犯罪という理不尽な行為によって、命を奪われたり、怪我をさせられたり、大切な財産を奪われるなどしたのですから、被害者やその遺族に対しては、十分な理解と配慮の下、被害の回復や立ち直りのための適切なサポートが提供されなければなりません。しかし、犯罪被害者は、長い間、「忘れられた存在」とも呼ばれるような立場に置かれ続け、満足に情報提供が受けられないなど、権利・利益が守られず、ひどい場合には、捜査機関や司法関係者、マスコミ、そのほか周囲の人々の配慮に欠けた言動によって、重ねて被害感を加えられてしまうことさえ珍しくなかったのでした(このような事態は「二次被害」と呼ばれています)。我が国の法律上、犯罪被害者が「その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する」ものと明確にされるまでには、犯罪被害者等基本法の制定(平成一六年)を待たなければならなかったのです。

二 委員会の活動

このような犯罪被害者を支援し、その権利・利益の実現を図るため、犯罪被害者支援特別委員会が設置されています。この委員会は、現在四三名の弁護士で構成されていますが、弁護士経験一〇年未満の委員が約八割を占めており、取り扱う事案には深刻なものも少なくないのですが、元気に活発に、活動しています。

愛知県弁護士会は、法律相談センターの事業として、毎週金曜日の午後三時から六時まで、犯罪被害者のための電話による無料法律相談を行っていますが(電話052・252・0028)、この相談窓口を運営面で実質的に下支えしているのは、この委員会です。また、被害者相談を担当する弁護士の資質を確保するため、弁護士を対象にした専門の研修を企画・実施したり、相談担当弁護士のための相談マニュアルを作成したりしています。更に、被害者への情報提供と広報のため、リーフレットやホームページでの情報発信にも取り組んでいます。

三 関係団体との連携

ところで、犯罪被害者の支援にあっては関係団体との連携も不可欠です。そこで、愛知県弁護士会では、この委員会の企画・立案により、民間の被害者支援団体である社団法人被害者サポートセンターあいちの相談窓口に定期的に相談担当弁護士を派遣したり、日本司法支援センター(法テラス)愛知地方事務所が行っている犯罪被害者への弁護士紹介事業にあたっては、適任と思われる弁護士を法テラスに推薦したりしています。更に、裁判所や検察庁との意見交換の場や被害者自助グループとの交流の場も随時設けています。

現在、犯罪被害者をめぐる法制度は大きな変革期を迎えています。刑事法廷での被害者による意見陳述制度が導入されるなどしたのは平成一二年のことでしたが、最近では、犯罪被害者等基本法に基づいて策定された犯罪被害者等基本計画にのっとって、様々な具体的施策が押し進められているところです。こうした新しい法制度導入の動きをめぐっては、たとえば、犯罪被害者の刑事手続参加問題のように、弁護士会の中での意見が大きく分かれることもありますが、そうした中、被害者の立場に立って制度の調査研究を行い、意見を発信していくことも、この委員会の大切な役割の一つになっています。