愛知県弁護士会新会長インタビュー


ー愛知県弁護士会の会長当選おめでとうございます。さっそくですが会長としての抱負をお聞かせ下さい。
「弁護士・弁護士会が、市民のため役立つことを念頭に置き、市民の権利擁護に力を注ぐことを第一に考えます。格差社会により、弱者が直撃されていることに憂慮しています。弱者の人権が守られる社会こそ、私たちの目指す社会です。」
ー市民第一主義ですね。ところで、企業者の中でも、中小企業者は、市民に近い立場にあると思いますが、その方面の取り組みは考えておられますか。
「よく聞いてくれました。実は二年ほど前から、中部経産局、愛知県商工会連合会と懇談を深め、今年六月から、『地域弁護士』制度の試行を開始します。これまで敷居が高いといわれていた弁護士を、県内一二ブロックの支部に『地域弁護士』として配置することにより、気軽に相談していただけるようにする制度です。」
ーそれはいい制度ですね。
「中小企業で、最近話題になっているのが、事業承継です。高度成長時代に起業された多くの方が、世代交代の時期になり、どのように事業承継をするか皆さん頭を悩ませています。承継の方法としては、親族、従業員、あるいはM&A等がありますが、それぞれ法律問題が絡みます。また、事業再生の問題もあります。民事再生を行ったり、あるいはここでもM&Aを検討することもあります。こうした法律問題の解決のお手伝いさせていただきたいと思います。」
ー市民に直結する問題として、裁判員制度がありますが、この点についてはいかがでしょうか。
「裁判員制度は、平成二一年五月までに施行が予定されています。一〇〇年に一度といわれる大改革です。弁護士会では、制度を成功させるために、研修会、講演会等を積極的に開催しています。また、密室の捜査で自白が強要されないよう、捜査過程の可視化をするよう録音録画を求めています。」
ー昨年、日本司法支援センター(法テラス)が設立されました。どのように対応されていますか。
「法テラスは誰でも、いつでも、どこででも法律家にアクセスできるようにと設置されました。法テラスを市民に役立つ組織にするために、弁護士会としては、法テラスの相談体制を支えていくことが重要だと考えています。」
ー自分の抱える問題に精通した弁護士がどこにいるのか分からないという方も多いと思いますますが、その点はいかがですか。
「愛知県弁護士会では、ホームページに『弁護士紹介ページ』を掲載しています。今年からは、日弁連で全国の弁護士に関し、『重点取扱業務』からの検索を可能にするシステムを開始します。それによって、自分の抱える問題を解決してくれる弁護士を捜すことが出来るようになります。」
ー市民第一主義の視点がよくわかりました。最後に皆さんんに一言お願いします。
「私たち弁護士は、皆さんと共に新しい市民本位の司法を創っていきますので、皆さんのお力添えをお願いします」