言わせてちょ

知事になる資格



先日の愛知県知事選挙では神田真秋氏が当選を果たした。四年間しっかり頑張っていただきたい。

さて、先月、宮崎県で東国原英夫(そのまんま東)氏が知事に当選した。

過去にも、長野県の田中康夫知事、現職では高知県の橋本大二郎知事などが、選挙の前までは別の都道府県に居住していたが、立候補して当選を果たしている。地方の時代と言われて久しいが、知事に立候補するのに居住地の制限はないのであろうか。

その前提として、選挙権は、当該都道府県に三ヶ月以上住所を有することが必要とされている。これは、当該都道府県の首長を選ぶのであるから当然と言えば当然である。 しかし、都道府県知事の被選挙権は、選挙の日に満三〇歳以上になっている日本国民であればよい。制限されるのは、公職選挙法違反または収賄関係の一定の犯罪で刑に処せられ、その執行を終わりまたはその執行の免除を受けた日から五年を経過していない者などである。

したがって、選挙になるまで県外に居住していても立候補することは何ら問題ないのである。地方自治を大切にするのであれば、その地方の実情を理解した人が知事になることが望ましいはずである。にもかかわらず被選挙権において居住要件がないのはいかなる理由によるのであろうか。

考えてみるに、中にいたのでは見えない問題点が、外からだと見える場合があるから特に居住を要件としていないのかもしれないと思い至った。他の都道府県に居住してみることで、比較の視点を獲得できて、自分の県の良い点・悪い点が見えることもあろう。個人的にも八ヶ月間、東京で暮らしてみて、愛知県の通勤は楽であることを認識したが、他方で美術館・博物館等の文化施設がいかに少ないかも思い知った。このような視点があれば、自分の県はどうあるべきかと考えた場合の選択肢も広く捉えることが可能になる。地方の時代だからこそ、地方の特色を多角的な視点から検討することが必要とされるのであろう。

現在、愛知県(または名古屋)が元気だと言われている。しかし、県内では、元気なのは一部大企業のみで、青息吐息の中小企業も多数あるという声も聞かれる。弁護士業務を通した実感は、むしろ後者に近い。

愛知県知事に当選された神田真秋氏は、少なくとも大学時代に他の都府県に居住された経験をお持ちのようである。多角的な視点から愛知県を見つめ直して県政の舵をとられることを望む。