法教育委員会だより

 「法教育」という言葉を聞いて皆さんはどんなイメージを持たれるでしょうか。中学校で暗記させられた憲法でしょうか。それとも裁判所の三審制でしょうか。
 愛知県弁護士会法教育委員会が目指す「法」とは、そのような個別の法律ではありません。「法」が人間社会を規律するためのものである以上、自分と他人との間の利害調整を図るために存在するはずです。最近特に問題となっている「いじめ」も他人の権利を尊重する心があれば起きにくいはずです。法教育委員会は、子どもたちに自分の権利だけでなく他人の権利も尊重する「法の精神」を学んでもらうために活動しています。

1 学校講師派遣事業
 主に中学校・高等学校を対象に、弁護士が出前授業を行う活動です。講演形式だけではありません。例えば、生徒間のディベートへの応援弁士として参加します。相手の言い分を聞きながら生徒と一緒にどんな反論があるかを考えます。また、シナリオに沿って法廷劇を体験してもらうこともあります。この他、体育館で法律クイズを行ったり、男女差別を題材にした寸劇を演じて、生徒さんに問題点を考えてもらったりしています。
 お申し込み・お問い合わせは愛知県弁護士会・業務広報係(電話052−203−0730)までお願いします。

2 サマースクール
 夏休みの間の1週間を利用して、法廷傍聴、模擬調停、ルール作り、裁判官や検察官に本音を聞く会、刑事模擬裁判などを開催しています。法廷傍聴には弁護士が付き添い、見てきた法廷でどんなことが行われていたかを解説し、質問に回答します。模擬調停やルール作りでは、多数の当事者の利害をどう調整すればよいかを受講生と一緒に考えます。本音を聞く会では、現役の裁判官・検察官に出席してもらい、仕事上の苦労話ややりがいなどを本音で語ってもらいます。刑事模擬裁判では毎年、弁護士がシナリオを作成します。午前中に裁判劇を見てもらい、午後から弁護士を交えて有罪か無罪かを議論してもらっています。
 毎年6月頃、愛知県弁護士会のホームページに内容や募集要項を掲載しています。

3 新しい教材作り
 名古屋市教育委員会のご厚意により、現役の中学校の社会科教師と一緒に新しい法教育の教材作りを研究しています。熱心な教師に引っ張られる形になっていますが、学校の授業の一環として弁護士が関わりうる教材作りをしています。地理・歴史チーム、公民チーム、特別授業チームに分かれ、活発な議論を行っています。既に新しい教材を使って3種類の授業を行い、年明けにも1回の授業が予定されています。


 いかがでしょうか。次世代を担う若い生徒さんと接するのは弁護士としても楽しいことです。少しでも他人と譲り合う心を理解してもらい、彼らが大人になる頃には自分も他人も尊重しながらより住みよい社会ができるといいなぁと考えながら、慣れない作業に頭を悩ませています。

→(参考)サマースクール報告等、愛知県弁護士会の広報活動の紹介ページ