裁判員制度が始まります

平成二一年五月までに開始

裁判員制度とはどのような制度ですか。
国民が裁判員として刑事裁判に参加し、被告人が有罪かどうか、有罪の場合どのような刑にするかを裁判官と一緒に決める制度です。

いつから始まるのですか。
平成二一年五月までにスタートします。

どのような事件が対象となるのですか。
強盗致死傷、殺人、現住建造物等放火、強姦致死傷、傷害致死などです。これらは国民の関心が高く社会的な影響が大きいことから対象とされました。

事件数はどれくらいになりますか。
平成一五年で、全国で約八万件の刑事事件があり、うち合計三〇八九件が対象事件になります。強盗致傷と殺人で約半分を占めています。

愛知県の場合はどうですか。
名古屋地裁における対象事件数は、平成一三年から平成一五年にかけて概ね一六〇件前後でしたが、平成一六年には二三七件に増えました。

一つの事件につき何人の裁判員が選ばれるのですか。
原則として、裁判官三名、裁判員六名の九名で裁判をします。ただし被告人が事実を認めて、裁判所が少ない数の合議でも支障がないと判断した場合は裁判官一名、裁判員四名で裁判をすることも認められています。

裁判員になるための特別の資格はありますか。
衆議院議員の選挙権を有する人であれば原則として誰でもなることができます。

裁判員はどのようにして選ばれるのですか。
原則として無作為に選びます。まず二〇歳以上の有権者の中から毎年一回抽選で裁判員候補者を選び名簿を作ります。この名簿から、事件毎に裁判員候補者をくじで選び、裁判所に来て頂くことになります。この候補者に対して、裁判員になれない理由や辞退する理由をうかがい、そうした理由がある方を除いた上で、残された方からくじその他無作為の方法で選任するのです。

裁判員を担当する確率はどの程度ですか。
対象事件と有権者数によってかわりますが、平成一六年の事件数を前提とすると、愛知県の場合、一年間で有権者一万人に対し二〇人くらいが裁判所から呼出の連絡を受け、そのうち二〜三人が裁判員になるというのが目安です。

裁判員に選ばれたらどのような仕事をするのですか。
(1)公判へ出席し、(2)評議・評決をする、ことが主な仕事です。まず裁判員は裁判官と一緒に刑事事件の審理(公判)に出席します。公判では証拠物や書類を取り調べるほか、証人や被告人に対する質問がなされます。裁判員が証人などに質問することもできます。裁判員は審理を終えた後、事実の認定をし、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合にどんな刑にするのかを裁判官と一緒に議論(評議)し決定(評決)します。

法律のことを知らなくても大丈夫ですか。
法律に関する知識や刑事裁判に関する手続は、裁判官から丁寧な説明がなされます。評議では裁判官が議論を整理し、裁判員が気兼ねなく意見や疑問を述べられるような雰囲気作りを進めます。ですから裁判員は各自の社会体験や生活体験に応じて事実認定などにつき自由に考えを発言していただくことが大切です。

裁判には時間がかかりませんか。
事件の内容により一概にはいえませんが、例えば被告人が事実を争い、証人を二、三人調べなければならない事案では、二日は必要になるのではないでしょうか。

トラブルに巻き込まれる危険はないのですか。
裁判員の名前・住所などは公表されません。評議でどんな意見を述べたかどうかも明らかにされません。また裁判員やその親族に危害が加えられるおそれがあり、裁判員の関与が非常に難しい例外的な事件は対象事件から除外されます。

日当・交通費は支給されるのですか。
支払われます。

裁判員になったら、仕事は休めますか。
会社などは休暇の申し出を拒めませんし、休んだことを理由として不利益な扱いをすることは禁止されています。

どうしてこの制度が導入されたのですか。
国民が裁判に参加することで、国民の感覚が裁判の内容に反映されます。またその結果、司法に対する国民の理解と信頼が深まることが期待されています。

裁判員に対する国民の理解や関心がまだ不十分ではないですか。
必ずしも十分ではありません。私たち法曹は制度に対する国民の理解と関心を深めるために広報活動にも力を注いでいます。