青山學会長 就任ご挨拶


――長年使われた「名古屋」の名称がよいと思いますが。
 「名古屋弁護士会」は、明治26年創設以来、110年余を経て4月1日から「愛知県弁護士会」に名称変更しました。確かに「名古屋」は知名度が高く捨てがたいところです。

――どうして会名変更をしたのですか。
 これまで、弁護士は都市に集中、偏在し、地域の住民からは遠く、また近寄りがたいイメージがありました。私たちは、名古屋市だけでなく、地域の住民の方々にも十分な司法サービスを提供するよう努めなければなりません。「愛知県全体」の司法サービスを担う弁護士会であることを自覚し、これを実践するためには、まず弁護士会の名称を「愛知県弁護士会」と改めることが必要であると考えました。

――弁護士会はどこにあって、何人の弁護士がいるのですか。
 愛知県弁護士会は、愛知県内の976名(うち女性会員122名、支部会員100名)の会員からなる弁護士会です。名古屋城の南に愛知県弁護士会館があります。このほか岡崎市に西三河支部会館、豊橋市に東三河支部会館、半田市に半田支部会館があり、皆さんへの司法サービスの拠点として様々な活動をしています。一宮支部は未だ独自の会館がありませんが、近い将来には一宮市内に支部会館を設置したいと考えています。

――地域住民への司法サービスとしての法律相談窓口はあるのですか。
 本年1月20日には新城市に法律相談センターを開設し、県内各地の法律相談センターは10カ所となり、法律相談業務を行っています。これからも、より身近な場所で法律相談を気軽にできるような体制を整えていきたいと思っています。

――今年度の重要課題を教えて下さい。
 司法制度改革が進められる中、特に日本司法支援センター、刑事訴訟手続と公的被疑者弁護、裁判員制度、法科大学院と司法試験・司法修習の問題、等多くの重要課題が山積しております。
 どのように運用実行していくのか、十分な議論を重ね、より良い制度として定着できるよう積極的な取り組みをしていきたいと考えています。それに憲法問題も重要な課題です。

――裁判員制度が4年後にはじまりますね。
 裁判員制度は、市民が刑事裁判に直接参加するという画期的な制度ですが、そのために市民の不安も大きいものがあります。私たちは、この制度の実施に向けて、裁判所、検察庁と連携をとりながら、模擬裁判の実施をするほか、市民への広報と啓蒙活動に取り組む必要があると考えています。

――会長としての抱負について
 当会は、本年度1000人を超える会員となり、数年後には、1500人となります。私たちは、これに対応できるように弁護士の意識改革と業務改革をすすめる必要があります。一方では個々の弁護士の資質向上と専門家養成の専門研修の実施、他方では事務所間の業務提携やパラリーガルの活用などの事務所体制のあり方の検討という、ソフトとハード両面での「改革元年」にしたいと考えています。
 特に、会員に対する研修は、昨年度から頻繁に行われるようになりましたが今年度もこれを承継し、多くの法改正にともなう研修のほか、知財、会社法等に代表される専門研修に努めていきたいと考えています。
 また、社会経済の国際化はすすんでおり、中部国際空港の開港、愛知万博の開催などを機会に、弁護士会としても国際交流や渉外関係の取扱と研修の支援をする委員会を立ち上げたいと考えています。
 私たちは、弁護士会活動が市民の理解によって支えられていることを考え、身近で信頼される弁護士、弁護士会にすべく、より一層の広報活動につとめます。

――日弁連副会長との兼務でかなりハードではないですか。
 日弁連の会員は約2万1500人です。副会長は各ブロックから選出されますが、東京、大阪と当会のみは各会長が兼任します。兼任は大変で、東京と名古屋での生活が半々になります。しかし、東京、大阪のような大都市の意見だけではなく、地元愛知県を始めとする地方会の意見を日弁連の執行に反映させるためには必要なことだと思っています。
 
――会長として会務に専従されますが、ご自分の弁護士としての業務はどうなりますか。
 この1年間は業務は完全にできません。しかし私の事務所は、名古屋で数少ない収支共同の事務所として、7名の弁護士と10名の事務職員がおり、依頼者の多様な法的ニーズに応えていますので安心しています。また、個々の弁護士が業務に限らず、委員会や会務活動のできる事務所づくりをめざして、みんなが協力し、みんなが良くなるようにと努めています。
 
――最後に趣味などについて

 人との出会いと交わりを大切にする「縁」という言葉が好きです。趣味は、旅行、ゴルフ、麻雀、読書(推理小説)など。人生を豊かに楽しくするコツは、アウトとインの趣味を持つことでこれを実践しています。