身近なトラブルお気軽に
  
名古屋弁護士会あっせん・仲裁センター〜ベテラン弁護士が迅速・適正に解決

《裁判は時間がかかる?》
社長

長年の取引先とちょっとトラブルがあってご相談なんですが。

弁護士

どうしました?

社長

納品のことでちょっと行き違いがあって、契約書の解釈で取引先とどうしても折り合えなくて。でも、今回は結構大きい損が出ちゃったから、そう簡単にこちらも譲れないんです。

弁護士

どれくらいの損が出たんですか?

社長

約一千万円くらいです。不況で売り上げが伸びず厳しいのに、これがもらえないとなるとうちは大赤字です。

弁護士

裁判をするという方法もありますが・・・。

社長

裁判は、時間がかかるんじゃないですか?

弁護士

裁判は、最近はだいぶ早くなりましたが、それでも、地方裁判所の事件の約二〇%は一年以内に事件が終わっていないし、五年を超えるような事件も毎年全国で千件以上あると言われています(平成一三年度司法統計年報)。裁判官は一人で二〇〇件も三〇〇件も事件を抱えてますから、御社のケースでも判決まで行くなら最低一年は覚悟しなければならんでしょう。

社長

そんなに待てません。それに、相手は昔からの取引先なんです。ちょっとしたトラブルなんで、「裁判」とかの大事にはしたくないんですよね。誰か公平な第三者が意見を言ってくれるとすぐ解決すると思うんですが・・・。

弁護士

なるほど。それでは、最近、弁護士会の中にできた「あっせん・仲裁センター」にトラブルの解決を申し立ててはどうですか?


《仲裁センターとは?》
社長

「仲裁センター」?何ですか、それは?

弁護士

仲裁センターは、弁護士会の中に設けられた、トラブルを処理する機関です。ベテランの弁護士が両者の間に立って、トラブルの仲裁や和解の手助け(あっせん)をしています。平成二年に第二東京弁護士会がはじめて作った比較的新しい制度です。現在では、全国各地一三か所に仲裁センターが設けられています。

社長

東海地方ではどこにあるんですか?

弁護士

現在のところ名古屋弁護士会(名古屋)・名古屋弁護士会西三河支部(岡崎)・岐阜県弁護士会(岐阜)にありますが、非常に評判が良く、これからも増えていくと思います。


《早くて適正な解決》
社長

どういうところが評判が良いのですか?

弁護士

一つには「早い」ということです(迅速性)。名古屋弁護士会あっせん・仲裁センターで解決に至ったケースは、平均三か月弱という極めて短期間で終結しています。数年かかると言われている裁判と比べると比較になりません。
 また、仲裁人には全員弁護士であるということがあります(弁護士以外の仲裁人が参加する場合も、必ず弁護士とのペアで参加します)。仲裁と似た制度で、裁判所で行う調停がありますが、意外に思われるかもしれませんが、調停委員(仲裁人のように紛争の解決にあたる人)は必ずしも法律の専門家ではありません。

社長

えっ、そうなんですか?

弁護士

弁護士や裁判所の元職員もいますが、学校の先生やお坊さん、家庭の主婦など色んな方がいます。それはそれで、民間の常識を反映すると言う意味では意味があることです。これに対し、名古屋弁護士会の仲裁センターの特色は、仲裁人は弁護士会が責任をもって選んだ経験一〇年以上の弁護士です。ですから、弁護士自身が、トラブルになった人の痛みや気持ちを十分に考えて、法律的な見地から実情にかなった解決を図っています。そんなところが、早く適正な解決ができる原因かもしれません。


《気になる費用は?》
社長

だけど、そんなに素晴らしい弁護士さんに仲裁に入ってもらうには、たくさん費用がかかるんじゃないですか?

弁護士

申立ての時には、申立手数料として一万円が必要です。これは、どんな事件でも一万円です。御社のケースを裁判所で調停申立するとなると二万七三〇〇円の収入印紙が必要ですし、調停が成立しない場合でもこの印紙代は帰ってきません(直ちに訴訟を起こす場合だけは、その印紙代に流用できる)。しかし、仲裁センターの場合は、解決にまで至らない場合は、どんな事件でも一万円がかかるだけです。

社長

ほう。それはお値打ちですね。最終的に解決したときには、どんな費用がかかるんですか?

弁護士

成立手数料を基本的には双方で折半して払うことになります。成立手数料の一覧表は【表】のとおりですが、御社のケースの場合、一千万円の和解が成立した場合は、一六万円ずつを双方で負担するのが基本となります。

社長

このままだと一千万円泣き寝入りだけど、申立手数料や成立手数料を払ってでも、解決をお願いした方が良さそうですね。この手続は、弁護士にお願いしないと申し立てができないんですか?

弁護士

もちろん弁護士なしでもできますが、弁護士を代理人として選任すれば、別途費用はかかりますが、あっせん手続もスムーズに進むと思いますし、解決案について御社に有利なアドバイスも出来ると思います。仲裁人の弁護士は、あくまで中立な立場で解決にあたりますから、御社は御社の利益を代弁する弁護士を選任された方が良いと思います。


《注意すべき点は?》
社長

なるほど。それでは是非、お願いいたします。しかし、良いことづくめの仲裁センターですが、そんなに評判が良いなら、みんなが仲裁センターに申立てをするようになって、そのうち裁判所は無くなってしまうのではないですか?

弁護士

いや、そんなことはありません。もちろん裁判所にも、もっと裁判官の数を増やしてもらうなど改めてもらわなければならないところもあります。しかし、裁判所には裁判所の良いところもあるのです。

社長 どんな点ですか?
弁護士 これは裏返せば、仲裁センターの限界ということになるのですが、仲裁センターには、相手の出頭を強制する力がありません。裁判は相手が欠席した場合は、「欠席判決」といって、訴訟を起こした側の言い分を全面的に認める判決を言い渡すことができます。しかし、民間組織である仲裁センターではそういうことはできません。
社長 その場合は、申立手数料の一万円は無駄になってしまうのですか?
弁護士 その場合、名古屋弁護士会の仲裁センターでは、相手が初回から出て来なくて終了した場合には、申立手数料の半額(五千円)を返金することにしています。
社長 相手が出席さえすれば必ず解決しますか?
弁護士 相手方が出てきた場合でも、仲裁人のあっせん案に相手方が承諾しない場合や、仲裁合意(仲裁人に下駄を預けますという合意)をしない人の場合には、仲裁人の案を強制することはできません。
社長 その場合は、どうなりますか?
弁護士 結局は、裁判をするしかないことにはなりますが、一旦仲裁センターで話し合ったことが一つの大きな要因となって、訴訟も早期に和解で解決したというケースもあるようです。
社長 ほかに注意すべき点はありますか?
弁護士 仲裁では、申立てをしても時効の進行を止める効力がありません。ですから、古い売掛金の請求のようなケースの場合は注意が必要です。ただ、この点も、今、検討されている「ADR基本法」が制定されると、弁護士会の仲裁センターへの申立てにも時効中断の効力が認められる可能性があります。

《和解内容を相手が守らない場合は?》
社長 もし、仲裁センターで分割払の和解が成立した場合に、相手が後で不履行になったらどうなりますか?
弁護士 原則としては、「和解契約を不履行にした」として裁判所に訴えることになります。ただ、この場合も、一旦仲裁センターで合意が成立しているのですから、一から裁判をするよりはずっと早く解決すると思います。また、名古屋弁護士会の仲裁センターでは、名古屋簡易裁判所に申し入れをして、仲裁センターでの合意を簡裁の「即決和解」という手続にのせて、合意内容に判決と同じ効力を持たせるという方法を用意しています。簡裁への即決和解申立費用が別途かかりますが、これなら、もし相手が不履行になった場合には、強制執行まですることができます。
 弁護士会では仲裁センターが更に利用しやすくなるように、建築家・不動産鑑定士・カウンセラーや国際商事仲裁の専門家にも仲裁人に入ってもらい、多数の事件を解決しています。
社長 なるほど。弁護士会の仲裁センターは実情に応じた様々な紛争解決ができるように色んなメニューを用意しているのですね。是非、利用したいと思います。早速申立てをお願いします。