労働者派遣法の改正に反対する会長声明
 政府は、労働者派遣法改正案を本年の通常国会にて成立させようとしている。
 愛知県弁護士会は、政府が提出しようとしている労働者派遣法改正案は、労働者派遣の無制限な拡大を招き、不安定な雇用を増大する危険があることから、これに強く反対する。

1 改正案は、現在の労働者派遣法が派遣期間について専門26業務に限定して派遣期間制限を設けず、その他の一般業務については原則1年最大3年としていることに対して、専門26業務という区別を廃止し、無期雇用派遣については派遣期間制限を撤廃し、有期雇用派遣については、派遣労働者個人単位では3年を上限としながら、人を入れ替えれば無期限に派遣労働を利用することができるものとしようとしている。

2 2008年のリーマンショックに端を発した世界同時不況の影響を受け、日本では「派遣切り」「期間切り」といわれた非正規労働者の切り捨てが蔓延した。これによって、仕事を失うとともに会社の寮からの退去を求められ、住む場を失った労働者が「ネットカフェ難民」といった状況に陥り、社会問題として注目された。
 製造業が盛んな愛知県では、全国でも最も多くの「派遣切り」「期間切り」が行われ、働く場、住む場を奪われた労働者が生活保護の窓口に殺到するという事態に見舞われた。
 この派遣切りの経験を通じて、非正規労働者が不安定な地位に置かれていること、特に派遣労働は実際に労務を提供している派遣先が使用者としての責任を負わないために派遣労働者をもののように切り捨てること、派遣労働者の雇用主である派遣元も派遣切りにあった労働者の雇用に責任を持ち続けるものではないということが明らかになった。そして、究極の不安定雇用である労働者派遣を更に緩和することは、社会的に見て危険であるということが教訓である。

3 2011年の労働者派遣法改正は、拡大を続けた労働者派遣を規制を強化する方向で歯止めを掛けるものであった。ところが、改正から間もない時点で、政府が労働者派遣を無限に拡大していくことを認めるような労働者派遣法の改正案を提出しようとすることは、派遣切りの教訓に反するものである。
 以上から、愛知県弁護士会は、労働者派遣法の改正に強く反対するとともに、政府は派遣労働者を初めとする非正規労働者の権利、地位の擁護のための措置を抜本的に強化することを求めるものである。

以 上

2014年(平成26年)3月19日

愛知県弁護士会 会長 安井信久