「少年警察活動規則の一部を改正する規則案」に対する会長声明

 

 警察庁は、平成19年9月、「改正」少年法施行に伴う少年警察活動規則の改正案(以下「規則案」という)を発表した。しかし、その内容には以下の問題点がある。

 規則案第三章第三節「ぐ犯調査」の規定について

(1) 規則案第30条は規則案第20条第1項を準用し、「規則案第20条第1項中の『触法少年』とあるのは『ぐ犯少年』と読み替えるものとする」と定めている。
 また、規則案第13条第2項では、「14歳未満のぐ犯少年」を少年法第6条の6第1項で送致すると規定している。
 かかる規則案によれば、警察官の主観的判断によって、「ぐ犯少年であると疑うに足りる相当の理由のある者」に対して、警察官が調査を開始し、その結果家庭裁判所への送致を行うことも可能となる。

(2) しかしながら、ぐ犯少年に対する調査権限に関しては、警察官のぐ犯調査権限の及ぶ範囲が不明確で、調査対象が恣意的に過度に拡大することを懸念し、先の国会での法案修正により、「改正」少年法案第6条の2および第6条の6から「ぐ犯少年」の規定が削除された経過がある。
 警察官の調査自体が少年の権利・自由や保護者および参考人のプライバシーを含む権利・自由を制約する性格を有するものである以上、調査権限を認めるためには、法律の授権が必要となるところ、規則案は、改正少年法において「ぐ犯少年」を調査対象から除外した立法の経過を無視し、法律の授権なしに警察庁自らの権限を定めようとするものであり、法治主義、適正手続の趣旨から到底許されるものではない。

(3) 従って、規則案第三章第三節の「ぐ犯調査」の規定は、国権の最高機関である国会での審議と法案修正を無視するものであって、違法・違憲の内容であるから、全て削除すべきである。

 規則案第三章第二節「触法調査」の規定について

@ 少年の調査にあたり、警察官が少年に対し、弁護士付添人を選任できることを告知する規定を定めるべきである。

A 少年の調査にあたり、警察官が少年に対し、「意に反して供述を強制されることはない」旨を告知する規定を定めるべきである。

B 規則案第20条第4項の立会いを認める者の例示に、弁護士付添人を加えるべきである。「立ち会いを配慮する」との文言は「立ち会いを認める」と改めるべきである。

C 規則案第16条から、少なくとも「詳細に」は削除すべきである。

(1) 少年は大人以上に被暗示性や被誘導性が強く、14歳未満の少年では、その傾向が特に顕著である。「改正」少年法第6条の3は、少年自身に弁護士付添人を選任する権利を認めた。かかる権利行使を保障するため、調査にあたり、警察官が少年に対し、弁護士付添人の選任権を分かりやすく告知することを規定すべきである。

(2) 被暗示性や被誘導性が強いという少年期の特性に配慮するべく、児童心理学者等専門家の意見を踏まえつつ、準則の策定を求めている参議院の附帯決議第1項の趣旨からも、警察官が少年に対し、供述を強いられることはない旨を分かりやすく告知することを規定すべきである。

(3) 弁護士付添人選任権が規定された趣旨に照らし、規則案第20条第4項の立会いを認める者の例示に、弁護士付添人を明記すべきである。

(4) 触法少年についての調査は、本来児童相談所又は家庭裁判所調査官が行うことが予定されており、警察官の調査はその準備行為としての調査と位置づけられるから、規則案第16条の「詳細に調査しなければならない」との規定は削除すべきである。

以上

平成19年10月10日

愛知県弁護士会 会長  村 上 文 男






行事案内とおしらせ 意見表明