本日、福岡拘置所、死刑確定者1名に対して死刑が執行された。金田勝年法務大臣の就任後、初めての死刑執行であり、2012年12月に第2次安倍内閣となってから、これまで合計16名の執行がなされていたところ、これで合計17名の死刑執行がなされたことになる。

 当会を含めた多数の弁護士会及び日本弁護士連合会は、本年3月25日の死刑執行の際にも、これに対し抗議する声明を発表し、死刑執行を停止するよう求めた。それにも関わらず、金田法務大臣が本日の死刑執行を命じたことは極めて遺憾である。

 死刑はかけがえのない生命を奪う非人道的な刑罰であり、また、判決には常に誤判の恐れがつきまとい、これまでにも4件の死刑確定事件についての再審無罪が確定している。誤って死刑が執行されればそれは二度と取り返しのつかないことであり、絶対に回避されなければならないことである。2014年3月27日には、静岡地方裁判所でいわゆる袴田事件の再審決定がなされ、同日、袴田巌氏が48年ぶりに釈放されたことは記憶に新しい。死刑確定者として死の恐怖と隣り合わせで長年拘束を受けてきた袴田氏が拘置所を出たときの姿は、私たちの脳裏に焼き付いている。このとき、私たちは、えん罪の恐ろしさを通じて、死刑制度の問題についても学んだ。

 死刑の廃止は国際的な趨勢でもあり、現在、死刑を廃止又は停止している国は140か国に及び、死刑を存置している58か国においても、2015年に実際に死刑を執行した国は、日本を含め25か国にとどまる。そして、OECD(経済協力開発機構)加盟国34か国のうちでも、死刑を残置しているのは、日本、米国、韓国の3か国だけであるが、韓国は事実上の死刑廃止国であり、米国も多くの州で死刑廃止ないし死刑の執行停止が宣言されており、死刑を国家として統一的に執行しているのは、日本だけである。そのため日本政府は、国連自由権規約委員会や拷問禁止委員会などから、死刑執行を停止し、死刑廃止を前向きに検討するべきであるなどの勧告を繰り返し受け続けているのであって、世界的に見て日本は極めて少数の立場に立っている。

 日本弁護士連合会においても、こうした死刑制度の重大な問題性や国際的な死刑廃止への潮流に鑑み、2016年10月7日に開催された人権擁護大会において、死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言を採択している。

 そこで、当会は、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、死刑廃止を含む刑罰制度全体の改革を求め、それが実現するまでの間、死刑に関する情報を国民に公開し、死刑執行の停止を求め続けることをここに改めて表明するものである。

2016年(平成28年)11月11日

愛知県弁護士会 会長 石原真二