死刑執行に対する会長声明

本日、大阪拘置所及び福岡拘置所において、死刑確定者各1名に対して死刑が執行された。岩城光英法務大臣の就任後2度目の死刑執行であり、2012年12月に第2次安倍内閣となってから、9度目で合計16名の死刑が執行されたことになる。

当会を含めた多数の弁護士会及び日本弁護士連合会は、昨年12月18日の死刑執行の際にも、これに対し抗議する声明を発表し、死刑執行を停止するよう求めた。しかし、岩城法務大臣は、本日2名の死刑執行を命じた。極めて遺憾であり、当会は改めて死刑執行に強く抗議する。

死刑の廃止はもはや国際的な趨勢であり、現在、死刑を廃止又は停止している国は140か国に及ぶ。他方、死刑を存置している58か国のうち、2014年に実際に死刑を執行した国は、日本を含め22か国にとどまる。そして、いわゆる先進国グループであるOECD(経済協力開発機構)加盟国34か国のうち、2014年に死刑を執行した国は、日本と米国だけであり、米国の計19州が死刑を廃止していることを踏まえれば、死刑を国家として統一的に執行しているのは、実は日本だけである。国連人権(自由権)規約委員会は、昨年7月24日、日本政府に対して、死刑の廃止について十分に考慮することや、執行前の事前告知、死刑確定者への処遇等をはじめとする制度の改善等を勧告している。

2014年3月27日には、静岡地方裁判所で、いわゆる袴田事件の再審開始決定がなされ、同日、袴田巖氏が48年ぶりに釈放された。死刑確定者として死の恐怖と隣り合わせで長年拘束を受けてきた袴田氏が拘置所を出たときの姿は、私たちの脳裏に焼き付いている。このとき、私たちは、えん罪の恐ろしさを通じて、死刑制度の問題についても学んだはずである。

当会は、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、改めて死刑執行を停止し、死刑に関する情報を広く国民に公開し、死刑制度の廃止についての全社会的議論を踏まえたうえで、死刑制度の抜本的な検討及び見直しを行うことを強く求めるものである。

2016年(平成28年)3月25日